建物は崖地に建っているため、規模以上に大きく見える。駐車場は分散しているようだが、わずかなスペースで切り返すのは困難。山なりの地形なのだから仕方がない。エレベーターで1階に上がり、フロントへ。フェイスタオルとバスタオルを受け取ったら浴室へ(自遊人パスポート利用だとタオルのレンタルなし)。広いホールの窓側は食事処になっており、しかも一面ガラス張り。山々を眺めながらの食事は楽しかろうと思う。なお、ホールの一角には土産物コーナーもある。
浴室は施設の規模のわりには小さいなぁというのが第一印象。カランは10個しかないので、休日などの混雑時にはどうするのか?と思う。訪れた日は平日夕暮れ時とあってガラガラだったが。内湯には6帖ほどの湯船と3帖ほどのジャグジー湯があり、どちらもお湯は循環処理・塩素消毒。源泉は無色透明で、72.4℃と高温のため加水して温度を下げている。小さいがサウナもあり、ガラス張りで山々を一望。低温というわりにはしっかり汗をかくことができる。水風呂がない代わりに、冷たい掛け湯でバシャバシャとやる。
露天風呂は源泉かけ流し。大小3つの岩風呂をメインとし、ほかに壷湯と五右衛門風呂、お湯を浅く張った寝湯がある。上下2段になっている岩風呂は、上段の円形岩風呂からこぼれたお湯が下段の岩風呂へと流れ落ちる仕組み。そのためか上段のほうがちょっとだけ熱い。下段の岩風呂の中には石のベンチがあり、おのずとそこに腰かけて半身浴をすることになる。ベンチがなかったらもっと大勢が入浴できるはずだが。露天スペースの隅にも岩風呂があり、こちらは大人1人が足を伸ばしたら精一杯かも。こじんまりとしているが、ほかの湯船からは死角になっているので、意外とゆったり入浴できる。
露天風呂からの景色は、1階の食事処からの景色と同じ。目の前の山々を一望することができる。箱根の場合は植生が多種多様なので、秋はすべてが紅葉するわけではないが、まだらな色づき具合も自然な様だともいえる。意地悪な言い方をすれば、宮ノ下の共同浴場「太閤湯」(→記事)から見る景色とたいして変わらないのだが、太閤湯より開放感があるのはもちろんのこと、てのゆでは気持ちのよい風に吹かれての入浴である。箱根に日帰り温泉は数あれど、大自然の景色を満喫できる施設は貴重だ。なお、浴室は男女日替わりとなっている。湯船の種類はたいして変わらないが、眺める山の方向が若干ずれているという程度の違いか。
2階には畳敷きの広い休憩室が2室あり、自由に利用することができる。ゴロ寝してくださいと言わんばかりのスペースで、タオルケットはフロントで貸してくれる。1階の食事処の上が吹き抜けているのでちょっと騒々しいのだが、お金を使わず気楽に過ごせる雰囲気が良い。
別途料金で個室つきの家族風呂もある。6帖和室の休憩室に、内湯と露天風呂が1つずつ、館内着の無料貸し出しもあるというが、入館料のほかに平日120分で1人あたり3,360円(下記)。つまり入館料と合計すると1人あたり平日で5,000円、休日で6,000円という金額になる。ちょっと高すぎやしないか?と思うが、果たしてどの程度利用されているのだろうか。
今回この記事を書くにあたり、ネットで調べてみると「客が少なくて心配」というレポートをちらほら目にした。実際に訪れた日も4〜5人しか客がいなかったのだが。雑誌などメディアの露出度は抜群だし、女性客には人気がありそうな施設だが、集客に結びつかない点を考えると、やはりネックは入館料の高さなのでは?と思う。「また来たい」と思わせるためには、割安感のある料金設定こそが望まれるのではないだろうか。
・自遊人おんせん倶楽部「てのゆ」
てのゆ
源泉/底倉温泉(ナトリウム−塩化物泉)
住所/神奈川県足柄下郡箱根町底倉555 [地図]
電話/
交通/箱根登山鉄道宮ノ下駅より徒歩13分
箱根登山鉄道箱根湯本駅よりバス40分「木賀温泉入口」停下車すぐ
小田原市街より国道1号線〜138号線で宮城野方面へ
※無料駐車場50台分あり
料金/平日:大人1,600円、子供600円、3歳未満無料
休日:大人2,100円、子供800円、3歳以上無料
※フェイスタオル・バスタオルつき
※ホームページに入館料100円引き+ソフトドリンクサービスのクーポン券あり
時間/平日:11:00〜19:00
休日:11:00〜20:00
※不定休
家族風呂利用料金(1人あたり)
(平日)120分 3,360円
(休日)120分 3,960円
延長料金30分1,000円
※小学生以下無料、大人2名以上の利用となる