広島県は神楽の盛んな地域で、なかでも芸北の安芸高田市には22の神楽団があるという。石見神楽を源流とし、演劇性とスピード感が特徴だ。各集落の氏子による神楽団は、日々の活動によって神楽の技を伝承し、神社で舞を奉納している。安芸高田市美土里町の神楽門前湯治村では、毎週金・土・日曜日に各神楽団が持ち回りで神楽公演をおこなっている。歴史情緒あふれる町並みが再現され、飲食、温泉、宿泊、体験工房などに多くの客が訪れる。
神楽公演は芝居小屋のかくむら座、神楽ドームのどちらかでおこなわれ、金曜日・土曜日は夜1回公演。日曜日・祝日は昼2回公演。訪ねた日は全席指定のかむくら座だったので、入場券販売開始の11時前から十数人の行列ができていた。2回通し券を購入し、1回目、2回目と座席を選ぶ。1回目の開演は12:30なので、まずは腹ごしらえ。
安芸高田市のご当地グルメは、夜叉うどん。神楽の演目にも登場する鬼（夜叉）をイメージしたもの。昼時にみんな考えることは一緒なのか、2つある飲食店に客は集まるが、店は慣れているのか提供は早い。時間が余ったので開演まで再び散策。体験館にはミニ舞台があり、来訪の子ども達が演者の舞を真似ていた。地元の子なのかはわからないが、広島県の神楽の将来は明るい。
かむくら座は舞台寄りが升席、後方が椅子席。意外と家族づれが多く、大入りとなった。直前だとよい席は選べないが、この日は若干余っており購入可。そして、この日は地元美土里町の天神神楽団による公演で、1回目12:30〜の演目は「葛城山」、2回目14:30〜の演目は「戻り橋」。演目によって長さが異なるようだが、おおむね60分前後。1回目と2回目の間は1時間ちょっと時間が空いたので、温泉を訪ねることにした。施設の紹介はのちほど。
神楽はテンポのよいお囃子（大太鼓、小太鼓、手打鉦、笛）、演者がまとった豪華な衣装や早変わり、ドライアイスや紙テープの演出などで盛り上げる。ストーリー展開、そしてスターと悪役がわかりやすく、「葛城山」で言えば、源頼光が四天王の卜部季武と坂田金時に葛城山の土蜘蛛退治を命じ、見事征伐するというもの。「戻り橋」は悪事をはたらく酒呑童子と茨木童子を、源頼光の四天王の渡辺綱と坂田金時が征伐する。殺陣シーンや喜びの舞など目が離せない。
岩戸屋は神楽門前湯治村にある温泉施設で、日帰り客の立ち寄りだけでなく、湯治村内の旅館の宿泊客にも利用されている。屋号は天の岩戸伝説にまつわると伝えられ、むかし湯場があったところから汲み上げているとのこと。館内掲示物によれば、源泉地は1�厠イ譴討�り、地下200mから湧出。浴室は室内階段で上下する造りで、この日は1階の露天風呂が設備不良、2階のジェットバスが老朽化により休止中。利用できたのは1階室内の大きな湯船。2階室内の寝湯、蒸気サウナ（スチームサウナ）、水風呂。リラクゼーションコーナーと名付けた一角にはサンラウンジャーを並べている。温泉は無色でかすかな濁りあり。滑らかな肌ざわりだ。
神楽門前湯治村
住所／広島県安芸高田市美土里町本郷4627 [地図]
電話／0826-54-0888(代)
交通／国道54号線安芸高田消防署交差点より約13��
※無料駐車場300台分あり
料金／入場無料
時間／施設によって異なる、毎月第3水曜日・木曜日定休
神楽の鑑賞料金
◎昼の公演 日曜日・祝日（2演目：1回目12:30〜 2回目14:30〜）
おとな1,200円、こども500円（1回目終了時以降は大人800円、こども300円）
◎夜の公演 金曜日・土曜日（1演目：20:30〜）
おとな800円、こども300円
神楽門前湯治村 岩戸屋
源泉／神楽門前湯治村岩戸屋温泉（単純弱放射能冷鉱泉）
料金／大人800円、こども450円、幼児無料（4歳未満）
時間／11:00〜20:30、毎月第3水曜日・木曜日定休
