名古屋駅からＪＲまたは近鉄電車でわずか10分。蟹江町は名古屋市のベッドタウンでありながら、のどかな郊外風景を感じさせる。町内には5本の川が流れ、作家の吉川英治は「東海の潮来」と称したとか。大きく蛇行しながら流れる佐屋川には釣り堀があって、その向かい側に尾張温泉東海センターがある。日帰り温泉施設にしては巨大な建物で、驚くことに川をまたいで建っている。
入館すると券売機が2台あって、小さなテーブルが受付代わり。物販コーナーには洋服やバッグ、漬物から地元蟹江町グッズまでありとあらゆるものが並んでおり、地方百貨店の催事場のよう。軽食コーナーも隣接しており、ラーメン450円、かき氷200円など、ひと昔前の価格設定。それでいて広々とした館内には客がまばらなのだから、つくづくこの巨大な建物に謎が深まる。
館内には東海ラジオといった地元有力企業の名を掲げており、いったいどういうわけかと調べてみたら驚くべきことがわかった。もともとこちらは東海ラジオ系列の会社により、かにえ温泉東海ヘルスセンターとしてオープン。レジャーブームの波に乗り、温泉の湧出、歌謡ショーや大衆演劇、ラジオの公開収録などが行われ、観光ホテルも営業していたという。以上、Wikipediaより。
愛知県で唯一、名湯百選に選ばれているという（NPO法人健康と温泉フォーラム）。浴室は広々として、室内なのに日本庭園のように大きな岩を配している。湯船も大きくて、湯船と湯船の間に橋が架かっていたり。これだけ広いとどこで浸かろうかと迷ってしまう。源泉は6本あって、加水・加温・循環なしの100％かけ流し。カランにも使用しているし、湯船からは贅沢すぎるほどざあざあとお湯があふれている。
水風呂でも温泉を使用しているが、泉温28℃なので水というかお湯。必然的にサウナより水風呂の時間のほうが長くなる。しかも水風呂だけ3人サイズなので、ここだけ窮屈。やわらかな泉質をいちばん良く感じられると思う。露天にも見事な岩風呂はあるのだが、室内のほうが断然広いという点で言うと健康センターなのだろうし、ひと昔前の施設という印象。週末だというのに年配客ばかりで、昭和レトロな雰囲気が漂う。大都会の名古屋市内からわずかな距離なのに、遠くの温泉を訪ねているかのような気分を味わった。
尾張温泉東海センター
源泉／尾張温泉（単純温泉）
住所／愛知県海部郡蟹江町蟹江新田佐屋川西97 [地図]
電話／0567-95-3161
交通／ＪＲ関西本線永和駅より徒歩19分
国道1号線「芝切」交差点より約1.5��
東名阪自動車道蟹江ＩＣより約1.3��
※無料駐車場250台分あり
料金／大人平日700円・休日800円、小学生300円
時間／13:00〜23:00
