瑞芳まで戻り、駅前から出ているバスで九分(本当はにんべんに分という字)という町に行った。およそ15分の距離だが、バスはだんだんと峠道を登っていく。むかしは9戸しか家がなくておまけに坂道なので、買い物はまとめて行き、みんなで分け与えたなんて話がガイドブックに載っていた。バスを降りてみんなのあとに続いていくと普通に商店街が軒を連ねていた。


それはいままで訪れたどこの地よりもずっと観光地らしく、夕方だというのに人がわんさかいた。聞くところによると「非情城市」という映画の舞台になったらしいのだが、そんな映画は見たことがないので、残念なことにその雰囲気はさっぱりわからない。しかし坂道が多い町らしく、また雨が多い町らしく、どうりで小雨が降り続いていたのだが、風情がある町だということはわかった。
僕が住んでいるところも坂道が多い町で、10分歩けと言われたら息が上がって大変だけど、坂道で観光客を呼べるというのはすばらしい。日本で言えば尾道か長崎か。九分のほうがずっとコンパクトだけど。なんでもない坂道を下っていったらとんでもないところに出てしまった。
ふたたびバス停へ。海まで見渡せてなかなかきれいな夜景だ。帰りは台北までバスに乗ったが、運転手はジュースを飲みながらものすごい勢いで峠道を下り、先を走るバスを追い抜き、さらには乗用車を煽るというたくましい運転を見せてくれた。しかしそんなバスでも半分くらいは寝てしまったので、台北まで何分かかったかはわからない。























