
わたらせ渓谷鐵道は渡良瀬川に沿って群馬県桐生駅と栃木県間藤駅を結ぶ。かつては国鉄足尾線と言い、足尾銅山の貨物輸送がメインであった。桐生駅から数えて8つ目の水沼駅には、ホームに面して水沼温泉センターせせらぎの湯があったが、一昨年7月末より休館。これをリニューアルして今年4/17にオープンしたのが、「駅の天然温泉 水沼の湯」だ。

築地銀だこの運営会社が手掛けており、渡良瀬川の対岸ではグランピングリゾート施設「
サウナの森 水沼ヴィレッジ」を先行して営業している。桐生市にはたこ焼き工場もあって、地域にはゆかりが深い。入館料のほか、追加料金で大露天風呂が利用でき、館内着とバスタオル、持ち帰り可能なフェイスタオルが付く。平日だと合計1,950円となり、群馬県の相場からすると高く感じてしまうが、せっかく訪ねたならばのんびり満喫したい。

水沼駅を発着する列車は往復22本。ほか週末などにはトロッコ列車も走る。水沼駅の利用客は1日100人をゆうに下回っており、水沼の湯に来店する客も車が殆どなのだろう。上り線ホームに温泉施設のエントランスを設けているが、入場券は必要なく、そのまま跨線橋を渡って入館する。そんなのどかな環境ながらも、受付を済ませてからは自動改札で入場する。

浴室には一列に並ぶ洗い場、窓に面して大きな内風呂があって、明るく広々としている。追加料金を支払わずとも浴室には露天風呂を備えており、ただしこちらはこじんまりとしている。温泉は内風呂が無色透明、露天はかけ流しで笹濁り。露天にはサウナ小屋と小さな水風呂、外気浴用のデッキチェアが並ぶ。

サウナは3段9名ほどの広さで、タワー型のヒーターでセルフロウリュも楽しめる。また、スタッフによる熱波イベントも開催しており、ラドル1杯ごとに大きなうちわでゆっくり扇ぐ。ラストの3杯目はさすがの熱さ。水風呂は地下水を使用しており、火照った身体をじっくりと冷やす。(露天スペースとサウナの写真は
公式サイトより転載)

館内着に袖を通し、館内を散策。入館料にはドリンク1杯の無料サービスが含まれており、追加料金でオロポやアルコールも。カフェスペースにて提供している。リクライニングシートや琉球畳、屋外テラスなどコンセプトの異なる空間が区画され、どれも洗練されて居心地が良い。館内のいちばん奥には大露天風呂があり、ゆったりとした岩風呂を設けている。こちらも無色透明。ぬるめの湯に浸かりながら、正面の山並みを眺める。また、タイミングが良いと到着した列車の音を聞く。

以前は駅直結の珍しさだけが知られていたが、リニューアルによって温泉好きだけでなく、サウナ好きも楽しめる施設として生まれ変わった。また、時間と空間を楽しむ施設として、目的地としての魅力も加わった。今回は利用しなかったが、館内にはレストランも併設しており、上州名物のすき焼きや郷土料理が味わえる。都内からでもを朝早く出発すれば、日帰りでものんびり滞在可能。車なら足を伸ばして
足尾銅山を観光したり、日光へと抜けるドライブもおすすめだ。
駅の天然温泉 水沼の湯
源泉/猿川温泉(ナトリウム・カルシウム―塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉)
住所/群馬県桐生市黒保根町水沼120-1 [
地図]
電話/0277-46-9071
交通/わたらせ渓谷鐵道水沼駅直結
国道122号線「水沼駅入口」至近
水沼駅前とくろほね大橋側に無料駐車場あり
料金/(平日)大人1,350円、小学生以下600円、5歳以下無料
(休日)大人1,550円、小学生以下700円、5歳以下無料
木もれび庵大露天風呂は別途平日600円・休日800円
時間/9:00〜21:00