
日本初のスーパー銭湯とも呼ばれ、人工炭酸泉ブームの火付け役といえば竜泉寺の湯。全国8店舗の総本山が、ここ名古屋守山本店だ。庄内川を隔てて春日井市と接する、いわば郊外立地のロードサイド店舗。「天空SPA HILLS」のコンセプトを掲げ、2018年12月に大型改装がなされた。強豪ひしめく名古屋市において圧倒的な人気と集客を誇る。

大曽根から日本唯一のガイドウェイバス「ゆとりーとライン」に乗る。専用高架軌道を走る路線バスで、運転手はハンドルに手を添えているだけ、むしろ手放し運転だ。竜泉寺の湯を訪ねる前に、ここの地名の由来になった龍泉寺をお参りしておきたい。尾張四観音、尾張三十三観音霊場の名刹だ。長久手の戦いでは豊臣秀吉がここに陣を構えたという。

竜泉寺の湯は「竜泉寺ウォーターパーク」(屋外プール)の併設施設として、1989年にオープン。スオミの湯竜泉寺店と言われ、当時チェーン展開していた店舗のひとつだ(
参考)。屋外プールは閉店後18年経つが、現在でも廃墟として残っている。さらに昔は巨大迷路だったいう情報もあり、レジャーブームの移り変わりを感じさせる。

守山本店は高台の地形を活かして建てられている。露天風呂からは庄内川や春日井市の風景を一望し、湯船の縁がなく、開放的なインフィニティ風呂だ。夜は青い照明が幻想的で、シルク風呂、炭酸泉、壺湯などが楽しめる。名古屋市内の人気店を景色で選ぶなら、ここ守山本店は外せない。浴室内にも炭酸泉があって、大学教授の書籍の引用が大きく掲げられているのは姉妹店と同様だ。人気はぬる湯の源泉風呂。ほかにジェットバスや電気風呂が並ぶ。

サウナは2室あって、30分おきオートロウリュのタワーサウナと塩サウナ。ととのい方をわかりやすく説明しつつ、「ととのうことだけが目的ではありません」と相反するメッセージが掲げており、万人向けなのが守山本店。竜泉寺の湯各店ではセルフロウリュサウナやシングル水風呂が導入されており、守山本店でも12月下旬のリニューアルオープンに向け、現在は全館休業して改装中。

岩盤浴エリアは別料金。ラグジュアリーでゆったりとしたラウンジに、リクライニングシート、展望スペース、ワークスペースなどがあって、友達どうしやカップル、おひとりさまでも寛げる空間だ。岩盤浴は薬石の異なる3室のほか、オンドル、汗蒸幕、クールルーム。これらを満喫して500円はリーズナブルな料金設定と言える。入浴だけの利用だと畳敷きの空間のみなので、のんびり過ごしたい方に岩盤浴はおすすめ。

地下は宿泊フロアとなっており、リクライニングとベッドタイプの全86席。簡易的に仕切られたひとり用空間で、例えるならインターネットカフェ。宿泊は2019年4月にスタートして話題になったが、直後にコロナウイルスがまん延。現在でも大きく宣伝はしておらず、利用客はどの程度なのか。リーズナブルに泊まりたい方、とくに車で訪ねた方には重宝しそう。

先述したとおり、1か月超の改装期間を経て12月下旬にはリニューアルオープンするので、待ち遠しく思っている方も多いはず。セルフロウリュサウナやシングル水風呂などは、首都圏の店舗では導入済みで、すっかり人気アイテムとなっている。本店が後回しになるというのも珍しいが、竜泉寺、キャナル、ラクスパの三つ巴の戦いは今後さらに過熱しそうだ。
竜泉寺の湯 名古屋守山本店
源泉/竜泉寺温泉(単純温泉)
住所/愛知県名古屋市守山区竜泉寺1-1501 [
地図]
電話/052-793-2601
交通/名古屋ガイドウェイバスゆとりーとライン竜泉寺停下車すぐ
料金/大人700円(朝風呂600円)、小学生300円、幼児無料
岩盤浴は別途500円、宿泊は別途3,600円(利用は17:00〜翌朝10:00)
時間/6:00〜27:00

↑リニューアル情報