



囲炉裏場のある中庭を取り囲むようにして建物は配置されており、左手を行けば貸切個室棟、右手を行けばレストランがあり、これらはベゴニア園の跡地に新築されたもの。「古民家風の里山温泉」をイメージしているだけあって、箱根の山並みを背にして、のんびりとした風情を作り上げている。レストランはコースメニューが囲炉裏席、通常メニューが座敷席などと分かれているそうだ。

さて、今回は大浴場「本殿 湯楽庵 大湯」を利用したが、こちらは「ひめしゃらの湯」の既存建物を再活用したもの。傾斜地に建っているため、大浴場の玄関フロアが2階、女湯が中2階、男湯が1階となる。下足箱はフロントで受け取った鍵で施錠し、脱衣所のロッカーは好きなところを選んで使う。ひめしゃら時代の浴室の雰囲気を忘れてしまったが、洗い場は室内に6つ、露天側に5つと少なめ。そして室内には7m×2mほどの内湯が1つあって、バイブラ湯とジャグジーを両端に設けている。
露天風呂の岩風呂はひめしゃら時代そのままだが、新たに設けたのが見晴湯。断崖にコンクリートで立ち上げたその上に湯船を設けており、目の前に原生林が迫っている。崖下には国道1号線が走っており、木々の隙間越しになるが、正月には箱根駅伝のランナーを眺めることができるという。さらに新設したのが信楽焼きのつぼ湯2つ。湯につかりながらにして森林浴を楽しめるとは、ひめしゃら時代の良いところをよくぞ残してくれたと思う。温泉は3本の源泉を混合したしたもの。無色透明で、当たりのやわらかいお湯だ。
サウナ室(熱ノ室)では「ロウリュウ」を毎日開催。しかも11:30〜19:30まで1時間おきというから驚きだ。サウナ室は広くないため(最大18名ほどだという)、大型うちわによる回旋〜熱波。スタッフの盛り上げトーク、アロマ水2回がけ+おかわり熱波という一連の流れは、スーパー銭湯をほうふつとさせる。サウナ室の外には沢水風呂があり、水温は16℃くらい。これならサウナマニアも納得するだろう。
湯上りの休憩スペースも抜かりなく完備している。リクライニングシート14台、男女共用たたみスペース40名程度、女性専用休憩室10名程度と、いまどきの客のニーズをよく心得ている。とくに男女共用スペースでは、室内の半分が2段式となっており、下段はカプセルホテル然とした穴蔵空間。リゾートを感じさせる施設でありながら自由な発想もあり、老若男女全ての人にとっての気軽さもあり、これは箱根の新名所になること間違いないだろう。


箱根湯寮
源泉/塔ノ沢温泉(単純温泉)
住所/足柄下郡箱根町塔ノ沢4 [地図]
電話/0460-85-8411
交通/箱根登山鉄道箱根湯本駅より無料送迎バス3分
または塔ノ沢駅より徒歩約5分
国道1号線箱根湯本駅より約800m
※無料駐車場92台分あり
料金/大浴場:大人1,300円(中学生以上)、こども650円(小学生)
貸切個室露天風呂:1室60分3,800円〜5,800円
時間/平日10:00〜21:00、休日10:00〜22:00
※オープン記念として5/6までの平日は22:00まで営業
年中無休