斉藤の湯 元湯 下の湯(福島県田村郡三春町)前回は「斉藤の湯」の上の湯をご紹介したので、今回は下の湯である。両者の距離は200mほどしかなく、下の湯もまた大滝根川沿いに建つ、こじんまりとした旅館だ。上の湯では子供達が外で遊んでいたが、下の湯ではおばちゃんたちが玄関わきの居間で寛いでいた。宿の人が出迎えてくれるわけではなく、どうしたものかと思っていたら、「お金はあとで払えばいいんだよ」と浴衣姿でうろうろしていたおじさんが言う。宿の人はいないんですか?と聞くと、「いるよ、そこに」。おばちゃんのうちの1人だった。そして料金は先払いだった。適当な感じが田舎っぽくていい。

斉藤の湯 元湯 下の湯(福島県田村郡三春町)館内をぐるりと回りこむと浴室がある。そこに至るまでには大広間とテーブル席の休憩スペース。脱衣所は棚とカゴのほか、100円返却式のロッカーもある。浴室にはカラン3つと、「庄ノ湯」「亀ノ湯」と名づけられた2つの湯船がある。どちらも温泉としては「斉藤の湯」ということらしいが、お湯の色は異なる。透明ながらやや緑がかっているのは庄一が発見した源泉。薄茶色でやや緑がかっており、濁った感じがあるのは亀太郎が発見した源泉。名前は2人の頭文字から。亀ノ湯のほうが古く、発見したのは明治34年だという。

窓は曇りガラスなので外の景色はよくわからないが、一方は道路側を、もう一方は隣接する神社の裏手の崖に面している。2つのお湯を楽しめるので得した気分だが、加えて景色のよさを望むのは贅沢なのか…。入浴料金が安いため、時間に余裕があれば上の湯とセットで訪れたい。

斉藤の湯 元湯 下の湯
源泉/斉藤の湯(単純放射能冷鉱泉)
住所/福島県田村郡三春町斎藤字惣角地83-1 [地図]
電話/024-944-1158
交通/郡山駅前より国道4号線「若葉町」交差点〜県道57号線経由で約9.2km
料金/320円(1時間以内)
時間/7:30〜20:30