さいとうの湯 元湯 上の湯(福島県田村郡三春町)福島県三春町には「斉藤の湯」なる温泉が湧いている。温泉名に具体的な定義などないようだが、地名から採るのが一般的であろう。斉藤の湯は人の名前?と思いきや、これも地名なのであった。斉藤さんが多く住んでいるのかはわからないが、「上の湯」「下の湯」のどちらも斉藤さんが経営しているわけではない。そもそも民家などあまりない、のどかな環境だ。三春町の南西に位置し、郡山市との市町境にも近い。県道54号線より大滝根川沿いを東に入っていくが、その曲がり角に「上の湯」「下の湯」の看板が立っている。手前にあるのが下の湯、200mほど先に上の湯がある。いずれもこじんまりとした田舎の旅館だ。

さいとうの湯 元湯 上の湯(福島県田村郡三春町)斉藤の湯は「放射能泉」という珍しい泉質。微量のラドンを含み、一般的には免疫細胞の活性化に効果があると言われている。館内には「人によってはあとから痛みが出る場合がありますが、好転反応の現れです」とある。病気療養のため長逗留する客などもいるのだろうか。素泊まりも受け付けているし、廊下には懐かしい感じの流し台もあった。

さいとうの湯 元湯 上の湯(福島県田村郡三春町)玄関先で料金を支払ったら、川を眺めながら館内左手奥の浴室へ。脱衣所には棚とカゴしかないので、貴重品は廊下にある100円返却式のコインロッカーへ。浴室には5帖ほどの大きさの湯船1つ、カラン2つといたってシンプル。2面がガラス張りで、窓の外によく手入れされた庭と植栽、立ち上がると大滝根川を眺める。サッシのふちに怪獣などのフィギュア(食玩?)が並んでいるのは、子供の遊び心か。お湯はうっすら緑がかっており、じんわりと熱い。循環式で湯垢が舞っているのが残念。おかげさまで体調良好だし、放射能泉の効能はすぐに実感できるものではないが、のんびりとした景色を眺めながらのんびりとお湯につかること、これがいちばんの効能なのではないだろうか。

さいとうの湯 元湯 上の湯
源泉/斉藤の湯(単純放射能冷鉱泉)
住所/福島県田村郡三春町大字斉藤字上河原102-1 [地図]
電話/024-944-2137
交通/郡山駅より国道4号線「若葉町」交差点〜県道57号線経由で約9.4km
料金/300円
時間/8:00〜20:00