旅は哲学ソクラテス

興味があるのは風呂屋めぐりとベイスターズです。それ以外のことにはあまり興味がありません。
日帰り温泉・スーパー銭湯・町の銭湯・共同浴場・サウナ・健康ランド・野湯など守備範囲は広めです。
行動範囲は神奈川を中心とした1都3県と静岡、山梨です。

長湯温泉

ラムネ温泉館(大分県竹田市直入町長湯)

ラムネ温泉館長湯温泉の町を歩いていると、白と黒のストライプの外壁のひときわ目立つ建物がある。外壁には焼き杉を使い、屋根は銅版葺き。館内は漆喰仕上げの真っ白の壁。都会のしゃれたカフェのように洗練され、かわいらしい雰囲気をも感じさせる。設計は東京大学教授の藤森照信氏と熊本の建築家・入江雅昭氏による。以前より老舗の大丸旅館の外湯として営業していたが、2005年に新たに建物を新築。数々の建築雑誌に紹介されたほか、ヴェネチア・ビエンナーレという建築展にも出展された。

ラムネ温泉館建築だけではなく、温泉自体もメディアで取り上げられることが多いようで、訪れた日も朝一番で雑誌の取材が来ていた。終わるまで待たされたので、その間は館内をぐるりと見渡す。書棚には藤森照信氏に関連する建築雑誌。タオルや飲泉カップなどのグッズはイラストレーター・南伸坊氏によるデザイン。路上観察学会か!と思ったら案の定その通り。ホームページには「入浴した著名人」といったコンテンツもある。スタッフは若い人ばかり。メディアを活用した宣伝に熱心なのも頷ける。

ラムネ温泉館-飲泉受付棟から浴室棟の間には中庭があり、飲泉所も設けられている。ガス入りのミネラルウォーターを温くした感じ。鉄分があり不味くも感じるが、飲めないことはない。








ラムネ温泉館-露天風呂脱衣所は黒でまとめたシックな内装であるのに対し、浴室は漆喰仕上げの柔和な雰囲気。ここでは掛け湯だけにして露天風呂へ。わりと広めの湯船だが、ビニールハウスで覆われている。32.3℃の源泉を沸かすことなく、そのまま掛け流し。長湯温泉の平均の炭酸ガス濃度(遊離二酸化炭素含有量)が700ppmであるのに対し、ラムネ温泉館は1,380ppmとさらに高濃度。入浴剤「バブ」の12倍だという。入った瞬間から全身にシュワーッと無数の炭酸ガスの泡が付く。昭和9年に作家・大仏次郎が長湯を訪れた際、「これぞ、ラムネ場だ」と旅行記に残したそうだが、その表現もピタリ。眼で、肌でラムネの感覚を体験できる。初めのうちは冷たいなぁと思う湯温も、長湯しているうちにだんだんと温度に慣れ、そのうちに温かく感じてくるから不思議。お湯は無色透明だが、炭酸ガスは水面で大きな泡となる。ハウス内にはシュワシュワと泡がはじける音。ところどころ油膜が浮いているように見えるが、これはミネラルの成分だという。

ラムネ温泉館-内湯しばらく露天風呂を楽しんだあとは、再び内風呂に移動。3つの湯船が並んでおり、こちらのお湯は42.1℃と適温。露天風呂につかった後だとよけいに温かく感じる。やや緑がかったお湯が掛け流し。先ほどのようなシュワシュワ感はないのだが、家で溶けきったバブのお風呂に入っているときのような、じんわりと身体の芯から温まる。肌にも潤いを与え、身体の内外から炭酸泉の効果を実感できる。冷たい露天風呂、熱い内湯を繰り返し入浴すれば効果も抜群。ついつい長湯してしまう、気持ちのいいお湯だった。

ラムネ温泉館
源泉/長湯温泉
  (露天:含二酸化炭素−マグネシウム・ナトリウム・カルシウム−炭酸水素塩泉)
  (内湯:マグネシウム・ナトリウム−炭酸水素塩泉)
住所/大分県竹田市直入町長湯7676-2 [地図
電話/0974-75-2620
交通/豊後竹田駅よりバス30分「長湯車庫」停(直入観光協会前)
     大分市内から県道412号線経由で約60分
     大分自動車道湯布院ICから湯平温泉経由で約45分
料金/大人500円、小学生以下200円、3歳未満は無料
     家族風呂2,000円(1時間)
時間/10:00〜22:00、早朝営業6:00〜7:00
     毎月第1水曜日定休(休日の場合は翌日。正月・5月は第2水曜日定休)

長湯温泉ガニ湯(大分県竹田市直入町長湯)

スーパー銭湯などで「人工炭酸泉」を導入する施設が増えつつあるが、日本を代表する炭酸泉の本家本元といえば竹田市直入町の長湯温泉である。久住山麓の丘陵地に位置し、大分、由布院、黒川のいずれからもアクセスが良いとはいいがたく、路線バスも数本しか便がない。四方をぐるりと山に囲まれた小さな温泉地には15軒の旅館があるが、のんびりとした風景が広がっている。

炭酸泉とは温泉の成分に炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んだお湯のこと。入浴すれば身体に細かい気泡がつき、毛細血管を拡張することで血流が良くなり、血圧の低下、新陳代謝の活性化が期待できる。飲用すれば胃腸を刺激し、便通がよくなるという効果が期待できる。ドイツなどでは医療用にも用いられている。昭和8年(1933)には九州帝大の松尾武幸博士が、世界でも稀有な炭酸泉であると長湯温泉を紹介。「飲んで効き 長湯して利く 長湯のお湯は 心臓胃腸に地の薬」と讃えた。平成18年には九州初の「源泉かけ流し宣言」、翌19年には「日本一の炭酸泉宣言」を行った。

ガニ湯長湯温泉のシンボルともいえるのが、町を流れる芹川の河原にあるガニ湯。無料で入浴できる露天風呂である。いくらのどかな温泉街だとはいっても、温泉街のど真ん中にあり、しかも目隠しとなるものは何もない。周囲から丸見えの状態で、川の対岸には温泉旅館もある。恥ずかしいという気持ちが少しでもあったら湯につかることはできない。

ガニ湯伝説(現地看板より)
昔、長湯温泉を流れる川にガニがいた。ある日ガニは色白の美しい村の娘に一目ぼれをしてしまった。そして人間になって娘を嫁にしたいと思うようになった。
たまたまそんなガニの切ない思いを知った川のほとりにある寺の僧が「寺の鐘を百聞けば人に生まれ変われる」と言い聞かせた。
そこで娘が湯あみに来たとき僧が鐘をつき、ガニは川の中からこれを聞いていた。僧が鐘をつきながらふと娘に目をやると娘のあまりの美しさにこれまた一目ぼれ。鐘を99までついて「娘はオレがもらう」と言って近づいたとたん、空がかきくもって大雨となり僧もガニも落雷にやられてしまった。
しばらくして川の水が引いたところ、川の中にガニの形をした大岩が現れ、無数の泡をともなった湯が湧き出した。
以来、村人たちはこれを「ガニ湯」と呼ぶようになった。

脱衣スペースは河原へと下りていく道に架かる小さな橋の下。といっても服を脱いだり着たりができるわずかな空間、そして申し訳程度の棚板があるだけ。通りから見えないということだけが気休めか。湯船まではそこから10mほどの距離。どうしても小走りになってしまう。

ガニ湯からの眺め湯船には湯の花が固化して岩にこびりつき、一面の黄土色。コケが付いているためか岩には多少ぬめりがある。お湯はわずかに緑がかった黄土色。人肌程度でかなり温め。ホースでゴボゴボと注がれていて、掛け流しであふれたお湯は川へと流れていく。ときおり飛沫をあげて勢いよく噴き出すのだが、そのときは小さな炭酸の気泡も一緒になってはじけ飛び、耳を澄ますとシュワーッという音が聞こえる。ホースから注がれるお湯を手ですくうと、うっすらと細かい気泡がつく。川面までは1m足らず。すぐそばを鴨が泳いでいる。

向かい側にある旅館からは丸見えだが、河原へと下りてきた道路側はガードレールがドライバーの視界を遮ってくれる。歩行者からは丸見えなのだが。早朝や深夜の入浴者が多いようだが、「旅の恥はかき捨て」ということで真っ昼間でも多少の勇気があればOK。せっかく来たならレッツトライである。

ガニ湯
源泉/長湯温泉(マグネシウム・カルシウム・ナトリウムー炭酸水素塩泉)
住所/大分県竹田市直入町長湯 [地図
電話/0974-75-3111(直入町観光協会)
交通/豊肥本線豊後竹田駅よりバス約40分「長湯」停下車
     大分市内から県道412号線経由で約60分
     大分自動車道湯布院ICから湯平温泉経由で約45分
料金/無料
時間/24時間

長湯温泉.com(直入町観光協会)
長湯温泉協会公式ホームページ

<参考>
炭酸泉インフォメーションセンター


長湯温泉では「湯巡り手形」を発売中(1,000円)。
湯巡り手形1枚で“源泉かけ流し協会”5軒の大浴場が利用できる。
下記の各施設で購入できる。
・ラムネ温泉館(通常/大人500円)
・万寿温泉(通常/大人200円)
・万象の湯(通常/大人500円)
・ながの湯(通常/大人200円)
・千寿温泉(通常/大人100円)

<参考>
「長湯温泉に『湯巡り手形』登場しました!炭酸泉へGOGO!」
(竹田市観光ツーリズム協会)
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神奈川県の銭湯の料金は下記の通りです。
・大人470円(12歳以上)
・中人200円(6歳以上12歳未満)
・小人100円(6歳未満)
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