旅は哲学ソクラテス

興味があるのは風呂屋めぐりとベイスターズです。それ以外のことにはあまり興味がありません。
日帰り温泉・スーパー銭湯・町の銭湯・共同浴場・サウナ・健康ランド・野湯など守備範囲は広めです。
行動範囲は神奈川を中心とした1都3県と静岡、山梨です。

野湯

切明温泉川原の湯(長野県栄村堺切明)

秋山郷は新潟県津南町と長野県栄村にまたがって点在する12の集落の総称で、江戸文政年間の文人・鈴木牧之によって紹介された。西に鳥甲山、東に苗場山、その谷間には中津川が流れる。メインとなるルートは津南町からの国道405号線だが、車のすれ違いもままならない険しい山道が続く。志賀高原からのルート(奥志賀公園栄線)もあるが、冬期は閉鎖される。かつて飢饉が襲ったときには餓死者も出て、3つの村が滅んだという。いまだって落石や雪崩などで道路が分断されたら、たちまち陸の孤島と化すだろう。いまもむかしも秘境であることに変わりはない。

切明温泉への道切明温泉への道新潟県津南町と長野県栄村の県境

この厳しい環境の中で、自然の恵みといえば集落に湧く温泉だ。北から逆巻、結東、小赤沢、屋敷、上野原、切明の温泉があり、各地に数軒の旅館もある。小赤沢温泉は酸化した鉄分による赤褐色のお湯、屋敷温泉は目の前に中津川を眺めながらの露天風呂が楽しめる。そして切明温泉の名物といえば、川そのものが露天風呂というワイルドなロケーションだ。

小赤沢集落小赤沢温泉楽養館屋敷集落
雪に埋もれる小赤沢(左)と屋敷(右)集落。小赤沢温泉楽養館(中)は4/20時点で冬期休業中だった。

切明温泉の歴史は古く、江戸時代中期に箕作地区の名主・島田三左衛門によって発見されたという。鈴木牧之の「秋山紀行」では湯本と記されているが、江戸時代中期には宿が流され、復活したのは昭和47年のこと(村営の宿・雄川閣)。現在はほかに2軒の宿が営業をしているが、民家は1軒もない。

切明温泉川原の湯切明温泉川原の湯切明温泉川原の湯

雄川閣より吊り橋を渡り、中津川の川原を200mほど歩いていく。雪が足首以上に積もり、道の格好をなしていないが、川から立ち上る湯気でだいたいの位置はわかった。川原には大小の石がゴロゴロしており、すでに岩風呂のように石が並んでいる。川底から湧く温泉と川を流れる冷たい水が混じり合い、人肌程度の温さ。浅いところをよく見るとぷくぷく湧き出していて、そこは若干熱め。川の水が注ぐところは当然冷たく、加減が難しいのだが、スコップで作るなど面倒だし、そもそもスコップを持っていないし。湯加減以上に困ったのは、川底に堆積した落ち葉や藻がぬるぬるして気持ちが悪いこと。諦めて足湯で済まそうかとも考えたが、3分後には服を脱いでいた。もちろん脱衣所はないので、水着やバスタオルがあるとよいかも。と言いつつ、自分は持っていないが。

切明温泉川原の湯切明温泉川原の湯

温くても冷たくても慣れてしまえば極楽露天風呂。都会のスーパー銭湯では味わえないこの開放感、むしろ開放的過ぎるかもしれない。温泉が大自然の恵みだと実感できるひとときだ。

切明温泉川原の湯

切明温泉川原の湯
源泉/切明温泉(カルシウム・ナトリウム−塩化物・硫酸塩泉)
住所/長野県下水内郡栄村堺切明 [地図
交通/国道405号線・117号線「大割野」交差点より約33km
料金/無料
時間/24時間

津南彩発見(津南町観光協会)
秋山郷観光協会
栄村観光協会
越後秋山郷(アトラスデザインワークス)

切明温泉の宿
雄川閣 切明リバーサイドハウス 雪あかり

切明温泉川原の湯、百合居温泉仮設共同浴場ほか。

8e995a74.jpg秋山郷は新潟県津南町から長野県栄村にかけて点在する集落の総称で、秘湯好きにも知られるところ。山道のいちばん奥に位置するのが切明温泉で、ここは河原が天然の露天風呂。川底から温泉がぷくぷくと湧いており、川の冷たい水と混ぜて湯加減を調整する。これがなかなか難しいのだが。

栄村といえば百合居温泉もマニアには有名。何がすごいかといえば、プレハブの仮設浴場なのだ。とはいえ内装はちゃんとしているのだが。

志賀高原から万座を経て草津に抜ける渋峠もまだ通行止め。またしても予定が狂ってしまい、長野回りは諦めて前日に来た道を戻ることに。途中で目星を付けていた温泉もあったのだが、時間が合わずに断念。ずっと南下し、渋川の富貴の湯という施設へ。これが思いがけずいい温泉。もっと宣伝されてしかるべき。

葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)

大町市街地から大町ダムを経て、高瀬川を上流へさらに約5km。高瀬渓谷に湧くのが葛温泉だ。慶長年間の飢饉の際に村人が葛を採りに山中に入り、温泉を発見したのが発祥とされている。400年に渡って湧き続けているのだが、昭和44年8月の豪雨は土石流となって旅館3軒が流失、交通が寸断され孤立状態となる水害(44災)を経験した。これを契機に大町ダムが建設され、葛温泉は現在、仙人閣湯宿かじか高瀬館の3軒が高瀬川沿いに点在している。

しかし今回は旅館の日帰り入浴ではなく、目当ては河原の野湯。「無料&格安温泉」(SAN-EI MOOK)という本を参考にして訪れたのだが、「県道を走りながら見当をつけて橋を渡り〜」という記述で、その場所は特定できた。橋といえば「湯宿かじか」に渡る橋くらいしかなく、そこから河原を眺めてみると、ゴロゴロとした岩場の中に湯溜まりのような箇所がいくつかある。天然なのか人工なのかはわからないが、どう見ても岩風呂だ。橋を渡ってそこに近づくと、「ここで水あそびしてはいけません」という看板のすぐ傍から、「河原へと下りてください」と言わんばかりにロープが垂れ下がっている。これで、河原までの斜面は容易に上り下りすることができる。

葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)
葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)
葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)
葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)

河原のあちこちから温泉が湧いていた。周囲の石が変色しているし、煮えたぎる感じもすぐわかる。熱湯なのは一目瞭然なので、川の水と混じって程よい湯加減を探すも、むやみに手を突っ込むと火傷は必至。かといって川に近づくと水が冷たい。河原をさんざん歩き回ってみたが、熱すぎたり冷たすぎたりして入浴できそうな場所はない。川の水がもう少し多ければよかったのだろうけど、季節や天候が左右するし、大雨やダムの放流によって増水したら危険な場所。そもそも県道や橋から丸見えのロケーション。

葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)
葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)

この記事を書くにあたって調べてみたら、源泉は約80℃あるという。どうりで熱いわけだ。野湯としてはアクセスしやすいし、高瀬渓谷の景色も良好だが、いつでも気軽に温泉を楽しめるというわけではない。それを踏まえて野湯であるのかもしれないが。今回は残念だったが、長野県内には河原の野湯として有名な温泉があちこちにある。これらを訪ねてみるのも面白い。

葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)
葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)葛温泉河原の野湯(長野県大町市平)

葛温泉河原の野湯
源泉/葛温泉(単純温泉)
住所/長野県大町市平 [地図
交通/長野道豊科ICより県道326号線経由で約40km
料金/無料
時間/24時間

大町市観光協会

無料&格安温泉―入湯料すべて500円以下!全国実湯200湯 (SAN-EI MOOK)
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