金時山荘(箱根町仙石原)箱根の観光エリアも仙石原交差点を過ぎるとおしまい。乙女峠(乙女トンネル)を境に静岡県御殿場市となる。県境を北東になぞれば標高1,213mの金時山がそびえ、金時登山口や乙女峠から2時間足らずのコースは、登山初心者や中高年に人気があるようだ。金時山は金太郎(坂田金時)伝説発祥の山で、公時神社は金太郎を祭神として祀っているという。今回紹介する金時山荘はもちろん金時山にちなんだ屋号で、金時登山口と金時神社入口の2つのバス停の中間に位置する。和室7室に30名収容の宴会場を備えた民宿だ。

金時山荘(箱根町仙石原)玄関に隣接するロビー兼食堂のテレビには洋楽の映像が流れていたが、館内には誰の姿も見えず、やむなく帳場のブザーを2度ほど鳴らしてみる。やがてご主人がやってきて、1,000円札で支払ったら「お釣りはあとで」と。タオルは貸出制なので、手ぶらで利用できる。脱衣所はカゴが6つと洗面台があるのみ。ほかに客はおらず、貴重品を心配するまでもなかった。浴室の床が乾ききっていることから、今日はしばらく客が訪れていなかったのか。

金時山荘(箱根町仙石原)3帖ほどの大きさの湯船1つと、カランが3つあるのみ。シャンプー・コンディショナー・ボディソープのほか、洗顔料があるのは嬉しいが、スポンジを使うのにはちょっと抵抗があった。

庭に面しているが、眺めが良いわけではなく、景色の移ろいを感じられるわけでもない。排水溝にタバコの吸殻が2本落ちていたが、侘しさゆえか、気持ちはなんとなくわかる。誰に気兼ねするでもなくしっぽりと過ごしたい人には打ってつけだが、日帰り入浴ならば箱根の相場がいかに高いかを思い知ることだろう。

金時山荘(箱根町仙石原)しかし温泉は箱根の中でも希少性あり。仙石高原開発が供給する「新姥子温泉」だが、酸性単純温泉(pH3.6)とは珍しい。源泉は58℃、成分総計461mgで、循環式のオーバーフローかけ流し。無色透明で泉質自体の個性はあまり感じられなかったが、ぬるめのお湯が気持ちいい。ちなみに姥子温泉は芦ノ湖北岸に湧出し、山姥が子(金太郎)の眼病を治したとの由来を持つ。金時山荘が新姥子温泉を使用しているのも、そんな逸話にちなんでいるのだろうか。

金時山荘
源泉/新姥子温泉(単純温泉)
住所/足柄下郡箱根町仙石原1111 [地図
電話/0460-84-8148
交通/箱根登山鉄道箱根湯本駅よりバス約30分「仙石」停徒歩10分
     新宿より小田急高速バス約1時間50分「太郎平」停徒歩1分
     国道138号線仙石原交差点より約650m
料金/700円
時間/13:00〜21:00