吉見百穴のついでに立ち寄れる温泉はないかと探してみたところ、すぐ近くに「吉見温泉春奈」という施設があった。吉見百穴も観光地としてはB級だが、吉見温泉春奈は正真正銘のB級スポット。鄙びっぷりはすさまじい。しかも「東京からいちばん近い混浴」との声もあって、ますます興味深い。ふらりと立ち寄る客も少なからずいるのだろうが、現地周辺の看板からして時代遅れな感じは否めない。看板なんて単なる目印に過ぎず、訪れる客の多くは常連か興味本位ではなかろうか。

百穴温泉春奈百穴温泉春奈百穴温泉春奈

吉見百穴の入口にゲート型の看板があり、そこから市野川の土手を北へ。昔ながらの旅館というのが第一印象。背後は雑木林で、時おりパーンパーンと乾いた声がして驚くが、これは近所の百穴射撃場から聞こえてくる銃声。

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フロントには誰もおらず、館内も静まり返っていた。何度か声を張り上げて呼び掛けると、やがておばちゃんが応対に出てきてくれた。浴室は館内の奥にあると言うが、そこまでに目にするものは、全て昭和で時が止まっているかのよう。脱衣所の暖簾くらいは新調しても良さそうだが。ロッカーなんて気の利いたものはなく、カゴを使用するので、貴重品はおばちゃんに預けておく。

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浴室のくたびれ加減はどう表現してよいかわからない。室内のほとんどを大きな岩風呂が占め、奥は一段上がってタイル張りの浴槽。看板には「美容と健康に露天風呂」とあったけど、アーチ型の屋根に覆われている。室内は広く、じゅうぶんに採光も確保されているが。女性専用の内風呂もあるのだが、目隠しのため窓ガラスには白ペンキが吹き付けられている。ほかにやりようがあっただろうに…。

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客は10人ほどいたが、なぜかタイル張りの浴槽に集っていた。しばらくして事情がわかったのだが、1人の女性客を集団で取り囲んでいるのだ。とは言え、皆が知り合いというわけではないようだ。中心になって会話を盛り上げる人がいる一方で、少し離れたところから様子をうかがっている人も。女性客はアベックで訪れているようだが、ここの施設を理解しているのだろう。傍から見れば異様な光景だが、不思議なくらいに平然としている。女性は40代とお見受けしたが、女性が「岩風呂に行こう」と言えば皆で移動するし、「もう出よう」と言えば皆が浴室をあとにする。というわけで、集団が去ったあとの浴室は無人に。唖然を通り越し、もう笑うしかない。

しばらく間を置いてから大広間の休憩室へ。浴室と同じように女性を囲んで集団ができているが、やはり中心で盛り上げ役、遠巻きに様子をうかがう客という構図ができている。女性客はもう1人おり、しばらくするとその集団が浴室へ。遠巻きの客というのは、実際には流動層だったりするのだ。エロトークが聞こえてきたりして、男性であってもいきなりこの雰囲気はハードルが高い。気に入るか、嫌になるかどちらかだろう。泉質うんぬんは二の次。温泉の楽しみ方もいろいろだし、どうこう言うつもりはないが、少なからず衝撃的な体験だったことは間違いない。

百穴温泉春奈
源泉/百穴温泉(温泉法の温泉)
住所/埼玉県比企郡吉見町北吉見1159 [地図
電話/0493-54-1888
交通/関越道東松山ICより約4.8km
料金/大人1,500円、小人750円
時間/(平日)10:00〜21:00、(休日)10:00〜19:00
    毎週月曜日定休

※「A重油高騰のため 平成23年3月20日ヨリ 御一人様休憩料 大人1,500円、小人750円」との貼り紙があった。

吉見百穴の記事

(追記-2011/8/7)
この記事をリライトしたものを「まぼろしチャンネル」(5ch)に掲載しています。
No.04 マニアには有名!?百穴温泉は怪しさ満点 - いかす温泉天国
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