湯西川温泉は「平家の落人」の里に開けた温泉地。交通の基点となる湯西川温泉駅(道の駅湯西川)からは、湯西川沿いをひたすら西に行くのだが、ゆるいカーブの連続。日がどっぷり暮れた時間に訪れたのだが、建設中の湯西川ダムは照明が煌々と輝いているが、その先は真っ暗な道が続く。付け替え県道も建設が進んでおり、完成後は温泉街へのアクセスも楽になるだろうけど、現状としては「平家はよくもここまで逃げ延びたな」というくらい、山深さを感じさせる距離だ。県道沿いに大小の旅館、ホテルが建ち並ぶが、夜はひと気もなく静まり返っていた。
※県道の付け替えは完了済み。2012/4/18訪問



薬師の湯(栃木県日光市湯西川)薬師の湯共同浴場

目指すべき共同浴場は、湯西川でも1、2と言われる有名旅館「本家伴久」の近く。はたご松屋の角を湯西川のほうへと曲がる。湯前橋の手前にあるのが共同浴場「薬師の湯」だ。路地から下がったところにある古びた木造の建物だが、現地に目立つ看板はないため、間近に立たないとそこが共同浴場だとは気づかない。サッシ戸を開けるとすぐ目の前に脱衣スペースがあり、数段下ると湯船がある。備品としては、棚とカゴ(寄贈者の名前が書いてある)、ベンチ、洗面器、石鹸置きがあるのみ。地元住民によって管理されており、観光客は200円以上の寸志を料金箱に入れる。

薬師の湯(栃木県日光市湯西川)薬師の湯(栃木県日光市湯西川)「川辺にあり、強雨や台風などで増水のたびに、戸、羽目の取り外し、取り付け、浴場内の清掃を行っています」。窓の外はすぐ川に面し、床面と湯船には河原の岩がそのまま活かされている。源泉はホースでそのまま湯船に投入しており、高温なので水をちょろちょろと加えている。無色透明のお湯で、小さな湯船からは常にあふれている。この素朴で鄙びた風情は、外の温泉街とは明らかに一線を画している。窓ガラスの落書きだけがちょっと残念。ちなみにこの共同浴場は混浴。女性には勇気が要るかもしれないが、夜通し開いているので、機会があったら訪れてみてほしい。

薬師の湯
源泉/湯西川温泉(単純温泉)
住所/栃木県日光市湯西川[地図
交通/野岩鉄道湯西川温泉駅よりバス約35分「本家伴久前」停徒歩1分
     国道121号線より県道249号線で約14km
料金/寸志(200円以上)
時間/24時間(ただし水曜日・土曜日の5:00〜8:00は清掃時間)

薬師の湯(栃木県日光市湯西川)薬師の湯(栃木県日光市湯西川)
薬師の湯(栃木県日光市湯西川)薬師の湯(栃木県日光市湯西川)
※写真追加(2012/4/26)



河原薬研の湯(栃木県日光市湯西川)河原薬研の湯

湯前橋を渡って対岸にあるのが、無料の露天風呂「河原薬研の湯」だ。さきほどの薬師の湯の混浴が中級レベルだとしたら、ここの混浴ははるかに上級レベル。橋の斜め下の岩場にあって、夜だと真っ暗で人影もないが、昼間は観光客が頻繁に往来するだろうから丸見え状態なのだ。橋の真下をくぐり、ごろごろとした岩場を過ぎると露天風呂がある。脱衣スペースはないため、適当な場所で服を脱ぎ着するが、平らな場所はわずかしかない。自然の岩を活かして湯船としており、真ん中が深くくぼんでいる。薬ひきの道具(=薬研)から名づけられたようだ。すぐそばに川が流れ、正面に薬師の湯、明るく照明が灯るのは萬久旅館を眺める。橋のほうを振り返ると、数棟の古民家が建ち並んでいる。素晴らしき開放的なロケーションだ。すぐ近くの金井旅館が無料で開放しており、利用に際してはくれぐれも節度と良識を。なにしろ貴重な経験となることは間違いない。

河原薬研の湯
料金/無料
時間/24時間

河原薬研の湯(栃木県日光市湯西川)河原薬研の湯(栃木県日光市湯西川)
河原薬研の湯(栃木県日光市湯西川)河原薬研の湯(栃木県日光市湯西川)
※写真追加(2012/4/26)

ゆらり湯の路(湯西川・川俣・奥鬼怒温泉観光協会)
日光市観光情報(日光市役所)
湯西川温泉のホームページ