全国に小江戸と呼ばれる街は数あれど、やはり代名詞といえば埼玉県川越市。江戸時代には新河岸川の舟運で栄えたという。伝統的建造物群保存地区にも指定された風情ある街並みから、のどかな郊外へ。新しくオープンした小江戸温泉KASHIBAは、市民憩いの伊佐沼にほど近い。運営するいずみの湯グループは、岐阜県内で温浴施設3店舗のほか、観光ホテルなどを手掛けており、今回が関東初進出。川越湯遊ランド、小さな旅川越温泉、小江戸はつかり温泉と、強豪揃いの激戦区に割り入っていく格好だ。
平日入館料750円は地域相場に合わせているようだが、そもそも地域相場自体が安すぎるように思う。フロントでは「岩盤浴はご利用ですか？」と問われ、それも入館料に含まれているのだから、料金設定がおかしい。岩盤浴セットとICタグ付きのロッカーキーを受け取ったら脱衣所へ。平屋で、しかも脱衣所はいちばん奥にあるから、長い廊下を歩いていく。店のロゴをあしらった大提灯がぶら下がっていたり、待ち合いを兼ねたカフェスペースがあったり。
浴室は見せ梁の和モダンな印象。室内には炭酸泉、温泉、シルク風呂というラインナップ。温泉は地下1,500mから湧出し、やや緑がかった色。サウナは遠赤外線ヒーターと石積みヒーターを備え、オートロウリュを30分おきに実施。ベンチ4段で座面の奥行きが広く、足を伸ばしたりあぐらをかいたり。水風呂の温度計は12℃を指しているが、それほどまでには冷たくはないのだが。露天の一部にはインフィニティチェアなどを並べ、外気浴の楽しむ客で常に埋まっていた。寝湯、座湯ジェット、壺湯がその脇に並ぶ。露天のメインはテレビを観ながらの温泉岩風呂だろう。その裏にある四季の湯も合わせて、多くの若者で入る隙間もなく。オープン数日だというのに、だいぶ賑わっていた。
休憩スペースにはテレビ付きリクライニングシートのほか、ごろ寝スペース、コワーキングスペース。そして押し入れのような2段ボックス。おふろcafe風でもありつつ、和風テイストも感じつつ。どちらかといえば若い世代が好みそうな雰囲気。その先に岩盤浴エリアがあって、入館料で利用できるのだからどうせたいしたことはないだろう…という予想を大きく裏切るもの。鉱石の異なる4つの部屋があって、いずれも12名ほどの広さ。クールルームもあるし、別途料金をちゃんと取ってもおかしくない。
待ち合いを兼ねたスペースにはカフェカウンターがあり、その名も「十三里」。江戸から川越までは13里（約51�辧砲竜�離にあり、九里（栗）四里（より）うまい十三里といえば、川越いもの代名詞。ここではさつまいものスイーツが味わえる。レストランは「江戸の台所」といい、かつて川越が農産物や物産品の集積地であり、江戸の食を支えたことにちなむ。川越名物に「けいちゃん」なんてあったか、と一瞬考えたが、これは岐阜出身の温浴施設であるから。フルサービスで、リーズナブルなメニューが揃う。練馬から関越道で約30分、大宮から荒川を渡って約30分とアクセスの良さが魅力。リーズナブルな料金でありながらもレベルは高く、近隣住民はもちろん、都会の人も大満足できるはず。河岸場のごとく賑わうのは必至だ。川越の街歩きも兼ねてぜひ。
小江戸温泉KASHIBA
源泉／ナトリウム−塩化物泉
住所／埼玉県川越市松郷1313-1 [地図]
電話／049-277-4126
交通／西武新宿線本川越駅よりバス「伊佐沼冒険の森」停徒歩約15分
国道16号線「伊佐沼」交差点より約1.3��
国道254号線「博物館入口」交差点より約1.6��
※大型無料駐車場あり
料金／（平日）大人750円、小人400円、乳幼児200円
（休日）大人850円、小人400円、乳幼児200円
時間／9:00〜24:00、不定休
※休憩スペースの写真は公式サイトより転載
