ほっとゆだ(岩手県西和賀町)「温泉のある駅」として温泉ファンのみならず、鉄道ファンにも有名なのが、JR北上線ほっとゆだ駅である。平成元年に新駅舎運用に合わせて温泉施設「ほっとゆだ」をオープンすると、平成3年には陸中川尻からほっとゆだへと駅名をも改めた。平日上り9本、下り10本の列車が停車し、昨年の乗車人員は1日平均191人だという。いわゆるローカル線のローカル駅に過ぎないが、紅葉スポットで知られる錦秋湖のほとりに位置し、湯本・湯川など和賀川沿いに点在する湯田温泉峡の玄関口としても知られている。

改札口からは売店を通って行き来することができ、わずか数十mという近さ。売店にはちょっとした食料品から雑貨類まで揃い、温泉施設の受付にも草刈鎌が並ぶというのどかさ。温泉施設自体も鉄道旅行客より、地元のおじさん達の利用のほうが多かった。入浴料金の安さもあってか、町の共同浴場のような感覚で利用されている。

浴室内には浅湯、あつ湯、バイブラ湯という3つの湯船がある。わずかに黄色がかった源泉はあつ湯に注がれており、常連客が勝手にバルブを開けて湯量と湯加減を調節していた。貼り紙にもあったが、湯量は減少傾向にあるとのこと。カランから出る量はだいぶ少なく、この問題は深刻だといえる。

ほっとゆだといえば、浴室の壁に鉄道用信号が掛けられていることで有名だ。列車が到着する45〜30分前は青、30〜15分前は黄、15〜発車時は赤に点灯する。次に到着する列車の時刻を脱衣所で確認し、浴室で信号を見ていたら、青→黄ときて、つぎに青と赤が同時に点灯。鉄道信号ではこれはどういう意味なのかと疑問だったが、考えてみれば上下線の発着があるわけで。信号の表示を目安として風呂から上がればじゅうぶん間に合うのだが、もし乗り遅れたら大変だ。信号の表示を補うために時計やアナウンスがあればよいのだが。話が脱線してしまったが、いま流行りの「乗り鉄」派にはおすすめ。じつは僕も高校生の頃、乗り鉄の途中で訪れたことがあるのだが、そのときのひとっ風呂はいまでも忘れられない思い出だ。

錦秋湖錦秋湖はあまりにも寂しい景色だった。

ほっとゆだ(西和賀産業公社)
ほっとゆだ(JR東日本:各駅情報)
西和賀町観光協会


ほっとゆだ
源泉/川尻温泉(駅前の湯:ナトリウム・カルシウム−硫酸塩・塩化物泉)
住所/岩手県和賀郡西和賀町川尻40地割53 [地図
電話/0197-82-2911
交通/JR北上線ほっとゆだ駅隣接
料金/大人250円、中学生以下100円
     休憩室:大人350円、中学生以下200円
時間/7:00〜21:00、毎月第2水曜日定休(祝日の場合は翌日)