群馬県みなかみ町は町村合併により、ひらがな町名として発足。県北部に位置し、県下最大の面積を誇るという。湯どころとしても有名で、旧水上町には水上温泉郷(水上温泉や宝川温泉など)、旧新治村には猿ヶ京温泉や湯宿温泉など、旧月ヶ瀬町には上牧温泉や奈女沢温泉などがある。沼田近郊でどこか日帰り温泉と思って探したが、温泉地の旅館だと受付終了が早いため、結局は入浴料金の安さにも惹かれて町営の三峰の湯へ。カーナビの地図データが古くてあてにならず、ようやくの思いで到着。入口にはいまだに「月夜野町営温泉」の看板が出ていた。

みなかみ町営温泉センター三峰の湯(群馬県みなかみ町後閑)周囲に何もない山の中という立地もさることながら、プレハブ造であることに驚いた。無駄に金をかけた自治体運営施設が多いなか、簡素を貫いている点をまず評価したい。そのぶん料金も安く、みなかみ町民はさらに100円引き。脱衣所にはカゴしかないので、貴重品はホールのロッカーを使う。鍵は受付に預け、本来なら番号札を渡しているらしいのだが、「まぁいいね。番号を覚えておいて」。町内の観光パンフレットをいくつか置いている点は公共施設らしいが、雰囲気からして観光客向けではないな、という印象。

浴室は1mほど離れて、別棟として建っている。驚いたのは、浴室そのものの骨組みこそ木造だが、壁や屋根に半透明の塩ビ波板を使用していることだ。建設資金を安く済ませたのか、維持管理のしやすさなのか、いつでも撤去できる仮設建築物扱いなのか。理由はよくわからないが、プレハブよりもさらに簡素とは恐れ入った。室内にはカランが3つしかなく、しかもシャワーなどはないため、みんな湯船から汲んで身体を流している。湯船は石づくりで失礼ながらちゃんとしており、お湯は無色透明。ちょっと熱め。個性はあまり感じられなかった。露天風呂もあるが、目の前の景色は木立ちというほど手入れされたものではなく、雑木林という表現が適切か。

純粋に温泉を楽しむためだけの施設だが、地元客で賑わっていた。みなかみ町内には温泉施設がたくさんあるが、穴場を訪ねたい人にはおすすめだ。

みなかみ町営温泉センター三峰の湯
源泉/月夜野温泉(単純温泉)
住所/群馬県利根郡みなかみ町後閑2265 [地図
電話/0278-62-1022
交通/国道291号線「井土上町」交差点より県道61号線(沼田水上線)へ
     「上入」交差点より駅裏を経由し、利根沼田望郷ライン。
料金/大人350円、子供150円(3歳〜小学生)
時間/10:00〜20:00(11月〜2月は19:00まで)
     毎月第3水曜日定休

まるごとみなかみ
みなかみ町観光協会