旅は哲学ソクラテス

興味があるのは風呂屋めぐりとベイスターズです。それ以外のことにはあまり興味がありません。
日帰り温泉・スーパー銭湯・町の銭湯・共同浴場・サウナ・健康ランド・野湯など守備範囲は広めです。
行動範囲は神奈川を中心とした1都3県と静岡、山梨です。

日本秘湯を守る会

八丁の湯(栃木県日光市川俣)

八丁の湯(栃木県日光市)女夫淵温泉より遊歩道を歩くこと約1時間、奥鬼怒温泉郷のいちばん手前にあるのは八丁の湯だ。ひなびた佇まいの木造旅館で、玄関先には楓の大木が真っ赤に色づき、まさに山の中の一軒宿といった雰囲気を醸し出している。とはいいつつ、客の増加や多様化するニーズに応えるためか、最近建ったと思われるログハウスも数棟点在し、まさに新旧同居といった感じ。

玄関正面にフロントがあり、館内左手奥に男女別の内湯、右手奥に進めば混浴の露天風呂が3つ、右手真っ直ぐに女性専用の露天風呂と教えてくれたのだが、清掃直後で下段の混浴露天風呂と女性専用露天風呂しかお湯が張っていないという。つまり男性が入れるのは1ヶ所のみだが、宿のおじさんが笑顔でそう言うなら仕方あるまい。

八丁の湯(栃木県日光市)八丁の湯(栃木県日光市)八丁の湯(栃木県日光市)

確かに上段の露天風呂はお湯を張っている最中だった。ホームページによると、石造りの湯船は昭和4年の開業時からのものだという。数段下ると岩を組んでつくった露天風呂があり、ここが唯一入浴できた湯船なのだが、これだけでもじゅうぶん訪れる価値はあった。正面の断崖には流れ落ちる滝と紅葉、眼下には鬼怒川の清流。湯船に舞う落葉の数たるや半端ではないのだが、それだけ野趣に富み、そして開放的である。源泉は湯船に大量に注がれ、お湯は崖下へと掛け流しされている。無色透明で糸くずに似た白い湯の花が大量に混じっているが、女性専用の露天風呂ではもっと細かかったとのこと。源泉は敷地内8ヶ所の山肌から自然湧出するというが、泉質の微妙な違いだろう。湧出量は合計220リットルで、いずれも湯温が50度前後のため、湯船にそそぐ湯量で調整しているそうだ。

八丁の湯(栃木県日光市)玄関先は絶好の撮影スポットかつ休憩スポットのわりに温泉を訪れる人はおらず、貸切状態で利用できたのは最高の贅沢だった。ちなみに八丁の湯というのは、日光沢と鬼怒川の合流地点から8丁(約2km)のところに温泉があったから、ということらしい。

左の写真は女性専用露天風呂。あまり大きくないらしい。



八丁の湯パンフレット

湯西川・川俣・奥鬼怒温泉観光協会

八丁の湯
源泉/奥鬼怒温泉(単純温泉)
住所/栃木県日光市川俣876 [地図
電話/0288-96-0306
交通/東武鬼怒川線鬼怒川温泉駅よりバスで約100分、女夫淵温泉より徒歩60分
料金/500円
時間/9:00〜15:00、年中無休

鶴の湯温泉(秋田県仙北市田沢湖)

鶴の湯温泉(秋田県仙北市)乳頭温泉郷は田沢湖の北東、乳頭山の西麓に点在する温泉の総称で、最寄りの田沢湖駅から約1時間の距離にあるにもかかわらず、多くの入浴客が訪れる日本を代表する温泉地だ。鶴の湯温泉、大釜温泉、妙乃湯温泉、蟹場温泉、孫六温泉、黒湯温泉、休暇村田沢湖高原という7つの一軒宿から成り、それぞれが独自の源泉を持っている。その泉質は異なり、10種類以上になるという。ブナの原生林に囲まれ、緑豊かなロケーションだ。乳頭温泉郷の由来となった乳頭山は、女性の乳房に似た形だからその名が付いたのだとか。それも戦前のことだというから、たいして古い話ではない。ちなみに乳頭温泉郷でもっとも古い開湯は、鶴の湯温泉の江戸時代だとされている。

田沢湖方面から県道127号線で乳頭温泉郷を目指すと、数軒のホテルが建ち並ぶ田沢湖高原温泉(Yahoo!トラベル)を通過する。そこから約3kmの地点が、鶴の湯温泉へと至る道路の入口。途中に水芭蕉の群生地を2ヶ所。見頃は4月下旬から。その後は高原の林道といった雰囲気の道路をひらすら走るが、このあたりは標高800mだという。途中で別館「山の宿」(日帰り入浴不可)を通過し、しばらくすると鶴の湯温泉が見えてくる。

乳頭水ばしょう群生地乳頭水ばしょう群生地乳頭水ばしょう群生地
乳頭水ばしょう群生地乳頭水ばしょう群生地乳頭水ばしょう群生地

乳頭温泉郷でいちばんの人気を誇る鶴の湯温泉は、休日だと9時の時点で日帰り客が行列を作っているという。それならばと8時頃に到着したが、すでに客がちらほら。しかし早すぎたので、茶屋でトーストを食べて一服していたら、だんだんと客が列を作り始めていた。慌てて列に加わるも、すでに50人以上が並んでいた。入浴開始時の10時には列をさばくため、事務所の前にテーブルを出して入浴料を徴収。同時に、ある程度の人数で入浴制限を行っていた。なるほど、噂どおりの賑わいぶりだ。

鶴の湯温泉(秋田県仙北市)敷地内には黒塗りの建物が数棟建ち並んでいる。茅葺き屋根が立派な本陣と呼ばれる建物は築350年になるといい、秋田藩主の佐竹義隆が湯治に訪れた際には警護の士が詰めていたという。ほかの建物もまた味わい深く、全体としてひなびた雰囲気を演出している。これらの建物から湯の沢を隔てた向こう側に、白湯や黒湯といった湯小屋、鶴の湯などの露天風呂がある。

まずは湯の沢を渡ったらすぐの白湯、黒湯へ。この2つは隣どうしにあり、浴室内で行き来できる。どちらも小さな湯船が1つあるだけで、白湯がやや熱めなのに対し、黒湯はややぬるめ。温泉の成分が湯船のふちに堆積し、黒や緑に変色。ひなびた風情をより一層醸し出している。白湯、黒湯とは言うけれど、どちらもお湯は乳白色。しかし天気の悪い日は、黒湯のお湯が多少黒っぽく見えるのだという。ちなみに鶴の湯温泉では4つの源泉があり、いずれも乳白色をしているが、これらは泉質や温度が異なる。そしてこれらは、半径50m以内に湧出するというから驚きだ。

鶴の湯温泉(秋田県仙北市)鶴の湯温泉(秋田県仙北市)鶴の湯温泉(秋田県仙北市)

混浴露天風呂である鶴の湯のわきを通って、今度は中の湯へ。それぞれに脱衣所があるものの、腰にタオルを巻き、裸で移動する人も多い。しかし女性の目を考えるとこの行動はどうなのか?と考えさせられる。混雑していることもあって、脱衣所の床ははびしょ濡れだし。小さな湯船1つの浴室を通って、露天風呂の鶴の湯へ。

鶴の湯温泉といえばこの露天風呂。山の斜面を背後に控え、ぐるりと緑の大自然が取り囲む。雪景色の写真でも有名だ。お湯は青白く、日差しが反射してまぶしい。お湯は足元から湧出し、また一角に設けられた滝の湯(打たせ湯)からもかなりの勢いで注がれている。底には玉石が敷き詰められており、足裏に心地よい。湯船の規模は広大で、濁り湯であるため女性でも入浴しやすいと思ったが、実際には大勢の眼差しに圧倒されるそうだ。写真撮影をするマナーの悪い客もおり、このあたりが有名になりすぎた温泉の弊害か。しかし鶴の湯は女性思いの温泉だ。女性専用の露天風呂として別に2ヶ所が設けられている。

鶴の湯温泉(秋田県仙北市)鶴の湯温泉(秋田県仙北市)鶴の湯温泉(秋田県仙北市)

帰りに別館「山の宿」に立ち寄り、名物料理の山の芋鍋を食べた。写真の通り、出てきたものは山で採れたものばかりで、素材の旨味を堪能することができた。こうした食事と温泉を繰り返していたら、きっと心身ともに健康になれるだろうな、と思う。

乳頭温泉組合
日本秘湯を守る会(鶴の湯温泉)

鶴の湯温泉
源泉/鶴の湯温泉
     (白湯:含硫黄−ナトリウム・カルシウム−塩化物・炭酸水素泉)
     (黒湯:ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉)
     (中の湯:含重曹食塩硫化水素泉(旧泉質名))
     (滝の湯:含硫黄−ナトリウム−塩化物・炭酸水素泉)
住所/秋田県仙北市田沢湖田沢先達沢国有林50 [地図
電話/0187-46-2139
交通/JR秋田新幹線田沢湖駅よりバス40分「アルパこまくさ」から送迎あり(予約制)
料金/大人500円、小人300円
時間/10:00〜15:00、月曜日は清掃日のため日帰り入浴は内湯のみ

「湯の色じゃない 名の由来 乳頭温泉郷」(朝日マリオン・コム)

蒸ノ湯(秋田県鹿角市八幡平)

東北道鹿角八幡平ICより伸びる国道341号線経由で、アスピーテライン(秋田・岩手両県道23号線)へ。後生掛温泉の次は「蒸ノ湯」へ。地熱を利用した蒸かしの湯であるから「ふけのゆ」というらしく、標高1,100mの高所のあちこちから湯煙が上がっている。宝永年間(江戸時代中期)に開湯した八幡平最古の温泉で、かつては湯治場も存在したが、昭和48年の土砂崩れで崩壊したのだという。現在は一軒宿の旅館として営業しているが、雪に埋もれる冬季は休業する。秘湯という表現がふさわしい立地と佇まいだ。

蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)

ノスタルジックな木造校舎風の建物で受付。館内には「ふけの湯神社」があり、金精様が祀られていた。今回の旅では花巻市の大沢温泉(⇒記事)で「金勢まつり」を目の当たりにすることができたが、温泉地と金精様の結びつきは深い。蒸ノ湯でも子宝祈願に訪れる客が多いようだ。ほぼ実物大と言える大きさで、持ち運び便利な金精様も売られていた。そんなふけの湯神社を見たあとは、館内のお風呂へ。3帖ほどの内湯のほかに、4帖半ほどの露天風呂がある。こちらでは岩の湯源泉を使用しており、お湯はうっすらと白みがかっている。pH2.4というからかなりの酸性度だ。露天風呂では雪をかぶった遠くの山の景色を眺めるることができる。

蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)
蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)

これで満足している場合ではない。そこそこの時間で入浴を切り上げたら再び服を着て、今度は外の露天風呂へ。ゆるやかな坂を2〜3分ほど下っていくと、男女別の露天風呂、さらにその先に混浴の露天風呂がある。荒涼とした景色が広がっており、あちこちから湯煙が上がっている。驚くべきことには遊歩道のすぐ足下からも温泉がこぽこぽと湧き出していることだ。立ち入り禁止のロープが張ってあるわけでもなく、注意を喚起する看板があるわけでもない。大自然の恵みを間近で感じることで、このあと入浴する露天風呂への期待は、否応なしに高まってくる。

蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)

まずは混浴の露天風呂へ。平成16年に新設されたのだという。混浴といえば昔の温泉文化だと思われがちだが、折からの温泉ブームによって、次第に評価は高まりつつある。もちろん客のマナー向上は必須だが、若い女性客に理解が進んだことも背景にあるだろう。良質な温泉が評価される時代なのだ。こちらでは簡単なつくりの脱衣所こそ男女別だが、扉を開けるとすぐに湯船。8帖ほどのゆったりした湯船が2つ並んでおり、おのずと男女別みたいな雰囲気になる。といっても圧倒的に男性が多かったのだが。すだれを周囲に張り廻らしているので、風呂につかりながらの視界はちょっと劣るが、開放感は抜群。なにしろぐるり360度なにもないのだから。

蒸ノ湯(秋田県鹿角市)蒸ノ湯(秋田県鹿角市)

開放感においてさらに素晴らしいのは、男女別の露天風呂だ。なだらかな山すそに湯船があり、遮るものは塀などは何もない。目の前の岩肌からも湯気が立ち、野趣満点の入浴だ。さきほどの露天風呂も緑がかった乳白色だったが、この湯船がいちばんにごっていて、たくさんの湯の花が舞っていた。かすかに硫黄のにおいもする。館内の風呂とは異なり、こちらで使用しているのは熊の湯源泉。木の樋を通じて絶えず源泉が注ぎ込まれている。気持ちのいい風に吹かれながらの入浴だったので、いくらでも長湯したい気分だった。もっと多くの人に評価されるべき、山のいで湯だ。

蒸の湯温泉ふけの湯(日本秘湯を守る会)
秋田八幡平温泉郷(八幡平温泉リゾート協会)
秘湯の宿ふけの湯(自遊人温泉倶楽部)

蒸ノ湯
源泉/ふけの湯温泉(岩の湯:単純酸性泉、熊の湯:単純温泉)
住所/秋田県鹿角市八幡平字熊沢国有林 [地図
電話/0186-31-2131
交通/東北道松尾八幡平ICよりアスピーテライン経由
     東北道鹿角八幡平ICより国道341号線〜アスピーテライン経由
料金/大人500円、小人300円
時間/7:00〜18:00、4月中旬〜11月上旬のみ営業

ふけの湯パンフレット
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