武雄温泉佐賀県内の温泉で全国的にも名の知れたところでは、武雄、嬉野、古湯か。このうち電車でのアクセスが良いのは武雄温泉。福岡から佐世保線で約1時間、駅から温泉街までは歩いて15分。歴史は約1,300年と古く、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際には兵士が湯治場として訪れ、宮本武蔵やシーボルトいった歴史に名を残した著名人たちも立ち寄っている。また、江戸時代中期に造られた鍋島藩主専用の「殿様湯」は、いまでは貸切湯として利用することができる。

武雄温泉楼門武雄温泉のシンボルといえば楼門。そして、楼門をくぐった先に建つ新館。どちらも大正4年築で、国の重要文化財に指定されている。設計は辰野金吾。日本銀行本店や東京駅など知られ、日本近代建築の父とも言われている。辰野は肥前唐津藩の下級役人の子として生まれ、佐賀県にゆかりのある人物であるから設計依頼を受けたのか。

武雄温泉新館新館の構想として「サウナ方式のむしぶろや、1階にビリヤード場、2階に舞台と客席がある娯楽場」(館内説明文による)などが描かれていたのだとか。資料館として見学することができ、五銭湯、十銭湯、上々湯(二十銭)の各浴室が保存・復元されている。昭和48年までは共同浴場として利用されていたという。温泉好き、歴史好き、建築好きの皆が学び、楽しめるスポットだ。

武雄温泉 鷺乃湯(佐賀県武雄市武雄町)楼門と新館が建つ一画には、大衆浴場(元湯、蓬莱湯、鷺乃湯)、貸切湯(殿様の湯、家老の湯、天平の湯、桜華の湯、芭蕉の湯)、旅館(楼門亭)がある。明治9年築という元湯のレトロ風情も気になるが、今回は露天風呂やサウナもある鷺乃湯へ。温泉地によくある日帰り施設だから、観光客も立ち寄りやすいはず。券売機でチケットを買い、フロントに提示し、2階へ。

武雄温泉パンフレット
武雄温泉パンフレット

内湯、露天風呂、サウナ、水風呂のコンパクトな浴室。洗い場にはボディソープとリンスインシャンプーあり。無色透明の温泉はあまり特徴は感じられないが、露天風呂は新館の裏手を間近に眺め、さらには緑の山なみも。旅行気分が盛り上がる。残念なのは塀にべたべたと貼った注意書き。脱衣所もしかり。観光客と地元客のどちらにマナー喚起を訴えているのか。こうした点も含め、地方の観光温泉風情かと。

武雄温泉パンフレット

武雄市観光協会

武雄温泉 鷺乃湯
源泉/武雄温泉(単純温泉)
住所/佐賀県武雄市武雄町大字武雄7425 [地図]
電話/0954-23-2001
交通/JR佐世保線武雄温泉駅より徒歩15分
     国道34号線「武雄高校前」交差点より約750m
     ※無料駐車場3か所合計100台分あり
料金/大人600円、小人300円(3才〜小学生)
時間/6:30〜24:00、年中無休