武蔵小山温泉清水湯(東京都品川区小山)武蔵小山は山手線目黒駅から東急目黒線で2つ目。駅を出て驚くのは「どこまで続くんだ?」というアーケードの商店街。飲食店やブティックなど多種多様な店が軒をつらね、老若男女で賑わっている。大きな町や百貨店に出なくても、ここだけで全てが事足りてしまいそうだ。そんな商店街を途中で折れ、低層マンションなどが建ち並ぶ住宅街の一画に武蔵小山温泉清水湯がある。2008年5月にリニューアルオープンした同店舗は、銭湯のイメージとはかけ離れた現代的な外観。正面には「天然温泉」の幟が立つ。

武蔵小山温泉清水湯(東京都品川区小山)館内はスーパー銭湯の小型版といった印象。券売機でチケットを購入し、フロントに手渡す。フロントはカウンター形式で、ビールサーバーなどを設置しているから、湯上りにくつろぐ人でロビーはあふれている。そして2階にも休憩スペースを設けている。脱衣所では100円返却式のロッカーを使用する。あんまり広くはないから夕暮れ時にはごった返している。

浴室内は全体を白とグレー、洗い場のみを黒のモノトーンでまとめ、大きくとった吹き抜け部分には木目を使用。洗練かつ落ち着いた空間設計をなしている。吹き抜けの窓辺に植栽を配した点もよい。室内側からだと目の錯覚によって、緑に囲まれているように感じさせてくれる。浴室の左手に洗い場があって、20人ほどが利用可能。お湯と水に分かれた押しボタン式水栓、固定式シャワーに銭湯らしさを残しているが、シャワーは手元のボタンで操作するから、いちいち手を伸ばさなくてもいい。こういったところが現代風なのか。

右手側の手前からサウナ(別途料金)、4人が限度な大きさの水風呂、台形で5〜6帖分ほどの大きさの湯船が並んでいる。清水湯には泉質の異なる2つの源泉があるのだが、内湯で使用しているは平成6年に湧出した黒湯。文字通り京浜地区ではポピュラーな真っ黒のお湯で、透明度は20cmほどだろうか。化粧水のようなすべっすべの肌ざわりに感動だ。大きな湯船にはジャグジー、バイブラ、電気マッサージを境目なしに備えている。いきなりの電気刺激に驚いたが(黒湯だから電極盤も見えない)、だから弱めにしているのだろうか。通路部分に足つぼ刺激スペースを設けたりと、いちいち心憎い。

銭湯にしては露天スペースにもゆとりの広さを確保している。段差を活かしてエリア分けしているのもよい。手前には黒湯を使用した小さな岩風呂があり、そのわきに椅子が3つ。1人は椅子に腰掛けながら湯船に足を突っ込み、足湯を楽しんでいる。なかなかいいアイデアだ。段差の上にはもう1つの源泉「黄金の湯」を使用した湯船がある。この源泉はリニューアルを機に掘削されたもので、地下1,500mから湧出しているという。黄金という名の通り、お湯の色は黄土色。塩分を多量に含んでいることは、ちょっとべたつく肌ざわりやにおいで実感できる。黒湯が循環式・塩素消毒なのに対し、黄金の湯は源泉かけ流し。あふれ出る量は多くはないが、都心の温泉施設では珍しいのではないだろうか。そのわきには3人分のデッキチェアが並び、横倒しして寝ころぶことができる。湯冷ましのつもりで横になってみたものの、かなり熟睡してしまった。露天スペースは高い塀に囲まれ、湯船の上には天窓つきの屋根が覆っている。しかし開放感はじゅうぶんに味わえるはずだ。

お盆期間中の日曜日とあって多くの人が訪れていたが、若い世代の利用者が目立つ。銭湯だから石鹸などを持参しなくてはならないが(販売もしている)、東京都内の日帰り温泉施設の相場と比べれば断然安い。地元客で賑わい、商店街と相まってこの町の活性化に一役買っているのは間違いない。一方で、駅から近いのも魅力であるため、電車で訪れる人も多いのではないだろうか。銭湯らしさをまったく感じさせない施設であるが、今後の銭湯業界には若い発想が不可欠だ。武蔵小山温泉清水湯は次世代の牽引役だと言えるだろう。

武蔵小山温泉清水湯
源泉/武蔵小山温泉
     黒湯:温泉法の温泉(重炭酸ソーダ泉)
     黄金の湯:ナトリウム−塩化物強塩温泉
住所/東京都品川区小山3-9-1 [地図]
電話/03-3781-0575
交通/東急目黒線武蔵小山駅東口より徒歩5分
料金/大人450円、小学生180円、幼稚園児無料
     サウナ別途400円、岩盤浴1,300円(女性のみ、入浴料込み)
時間/(平日)12:00〜24:00
     (休日)08:00〜24:00
     毎週月曜日定休(祝日の場合は平日営業)

武蔵小山に黄金色の温泉−黒湯の「清水湯」がリニューアル(品川経済新聞2008年06月12日)