旅は哲学ソクラテス

興味があるのは風呂屋めぐりとベイスターズです。それ以外のことにはあまり興味がありません。
日帰り温泉・スーパー銭湯・町の銭湯・共同浴場・サウナ・健康ランド・野湯など守備範囲は広めです。
行動範囲は神奈川を中心とした1都3県と静岡、山梨です。

青森県

蔦温泉旅館(青森県十和田市奥瀬)

蔦温泉(青森県十和田市)南八甲田連峰の東麓、八甲田樹海と呼ばれるブナ原生林の中に蔦温泉がある。周辺には蔦沼、長沼、菅沼、瓢箪沼など大小の7つの沼があり、蔦温泉を起点として1周約1時間の遊歩道が整備されている(蔦沼周辺マップ)。自然散策が好きな方には有名なのかもしれないが、この先を南下したところにある奥入瀬渓流と比べれば、訪れる観光客は少ない。しかしながら、静かな大自然が囲む立地に一軒だけ宿を構えるさまは、まさに秘湯といった感がある。

蔦温泉の開湯は古く、久安3年(1174)にはすでに湯小屋があったという。共同管理の湯治場から旅館になったのは、ちょうど100年前の明治42年(1909)。いまでも本館には、古きよき温泉宿の風情が存分に残っている。この旅館には「久安の湯」と「泉響の湯」という2つの浴室があり、どちらも改築を経ているが昔ながらの湯小屋の雰囲気が楽しめる。

蔦温泉旅館(青森県十和田市)蔦温泉旅館(青森県十和田市)蔦温泉旅館(青森県十和田市)

久安の湯は時間帯によって男女入れ替えで、9:00〜20:00は男性専用、それ以外は女性専用となる。浴室は天井が高く、すべてが木造。大部分を湯船が占め、ほかにかけ湯用の汲み湯枡があるのみ。無色透明の源泉は、湯船の底板の隙間から湧き出しており、時折り小さな気泡が浮かび上がってくる。分析表によると自然湧出で、その量は測定不可だという。贅沢なほどの量が湯船からあふれている。泉温は44.6℃とのことだから、湯船の中ではちょうど良いくらいの温度。薄暗い室内には湯気が立ち込めており、かなり鄙びた印象だ。壁の一角に設けた水槽には金魚や熱帯魚ではなく、付近の川魚を泳がせるセンスのよさ。飾り気の無さはさすがである。

泉響の湯は男女別に浴室が設けられている。久安の湯より新しいことは一目瞭然であるが、浴室の造りや雰囲気は似ている。床と腰高まではタイル張りだが、ほかはすべて木造。隅にシャワーブースもあるのだが、かけ湯には湯だまりのお湯を使う。あえてカランを設けなかったことには評価したい。湯船の大きさは久安の湯とほぼ同じで、こちらも足元から源泉が湧き出している。泉響という名前は、井上靖が蔦の雰囲気を「泉響颯颯」と詠んだことによる。「泉の音がそよ風に乗って聞こえてくる」といった意味なのだとか。

蔦温泉のペナント
懐かしのペナント。「昔の売れ残りですよ」と売店のおじさんは笑った。

酸ヶ湯温泉から蔦温泉への道酸ヶ湯温泉から蔦温泉への道蔦温泉から奥入瀬への道
(左・中)酸ヶ湯から蔦温泉への道。(右)蔦温泉から奥入瀬への道

蔦温泉旅館
源泉/蔦温泉
     (旧湯:ナトリウム・カルシウム−硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉)
     (新湯:ナトリウム−硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉)
住所/青森県十和田市奥瀬字蔦野湯1 [地図
電話/0176-74-2311
交通/JR東北本線青森駅よりバス1時間43分「蔦温泉」停下車
     東北自動車道十和田ICより国道103号線で約1時間30分
料金/大人500円、小人(小学生)200円
時間/9:00〜16:00

蔦温泉旅館(日本秘湯を守る会)

酸ヶ湯温泉(青森市荒川)

酸ヶ湯温泉(青森市)酸ヶ湯温泉(青森市)酸ヶ湯温泉(青森市)

青森市中心街より南へ約30km、酸ヶ湯は八甲田山中の主峰大岳の西麓にある温泉だ。標高925mの高所であるため、そこに行くまでの道は5月初旬といえども、沿道には背丈以上の雪が残っていた。そして、旅館の建物のすぐ脇の斜面にもスキーヤーの姿。ぽつりと建つ一軒宿であるが、その規模は大きく、正面右側には蕎麦屋を併設している。広大な駐車場は連休中とあってほぼ満車。温泉を目当ての客に加え、ドライブイン的な感覚で立ち寄る客も多いようだ。

酸ヶ湯温泉といえば「千人風呂」である。下田河内温泉の金谷旅館や上諏訪温泉の片倉館など、「千人風呂」は全国各地にあるが、酸ヶ湯の千人風呂もまた素晴らしい。総ヒバ造りの大浴場は男女混浴で、湯治場の雰囲気が味わえる。JR東日本のポスターで記憶している方も多いことだろう。

その千人風呂が呼び物であるが、それに加えて男女別浴の「玉の湯」もある。券売機での支払い方に戸惑うが、入浴できるのはどちらか一方だという。「ちらっと覗いて、混浴が無理だと思ったら玉の湯へどうぞ」と番頭さん。せっかく来たのに千人風呂に入らないのはもったいないと思うが、断念して玉の湯に移動する女性も多いようだ。ちなみに酸ヶ湯では有志が「混浴を守る会」を結成し、マナー向上へと活動を行っている。

酸ヶ湯温泉の千人風呂

多くの客でごった返した脱衣所を抜けると、160帖あるという広い浴室にまず驚くはずだ。床から壁、天井に至るまですべてが木造で、射しこむ光と湯気によって一段とつやが出ている。温泉場としての歴史と都会にはない素朴さを感じさせてくれる。手前に「熱の湯」、奥に「四分六分」と名づけられた湯船があり、老若男女で和気藹々とした雰囲気だ。2つの湯船は小さな標識に従い、男性と女性が左右に分かれて入浴するようにと決められているが、間仕切りなどでの区分はない。圧倒的に男性が多いため、なんとなく越境しないようにとの努力目標にしか過ぎない。女性がこの状況に圧倒され、すぐに出て行ってしまうのも無理はない。ちなみに女性専用の時間帯もあるが、8:00〜9:00、20:00〜21:00の1日2回だけ。日帰り利用ならば、おのずと朝に限られてしまうが。

「熱の湯」と「四分六分」は泉源が異なるようだが、どちらも青みがかった乳白色のにごり湯。熱の湯は湯船の底から源泉が湧き出しており、新鮮なお湯が楽しめる。湯温は40〜42℃といった感じ。むしろ熱いのは四分六分だったりするからわけがわからない。こちらには飲泉せよとばかりにコップが置いてある。試しにひと口含んでみると、レモネードのような酸っぱさにビックリした。それもそのはず、pH1.9の強酸性なのだ。酸ヶ湯とは言い得て妙だが、もともとは「鹿湯」が訛ったのだという。その字のごとく、傷ついた鹿がこの湯で治したという由来による。

これらの湯船に千人が同時に入浴できるか?などはこの際どうでも良いことで、実際は湯船のふちに腰掛け、足だけつかっている人が多い。脱衣所の注意書きにもあったが、「入浴中は浴槽から出てひと休みなどしない」とのこと。「苦痛になったら腰湯・立湯・足湯、あるいは手湯ととにかく体の一部をお湯に入れる」とあるから、入浴も真剣勝負だ。「湯滝」に打たれるのも気持ちがいいし、ぬるい「冷の湯」で掛け湯するのも気分転換になっていい。

温泉として素晴らしいのはもちろんだが、大浴場の光景はじっくりと目に焼き付けておきたい。この広さ、そして渋い雰囲気はなかなか味わえるものではない。

酸ヶ湯温泉
源泉/酸ヶ湯温泉(酸性硫黄泉)
住所/青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50 [地図
電話/017-738-6400
交通/JR東北本線青森駅よりバス1時間12分「酸ヶ湯温泉」停下車
     青森自動車道青森中央ICより国道103号線で約40分
料金/大人600円(中学生以上)、小人300円(小学生)
     休憩付入浴(日帰りセンター8:00〜15:00):大人1,000円、小人500円
時間/大浴場7:00〜18:00、玉の湯9:00〜17:00

さんない温泉三内ヘルスセンター(青森市三内)

さんない温泉三内ヘルスセンター(青森市)東北自動車道は青森ICが終点で、国道7号線(青森環状バイパス)に直結しているが、その直結部分の北側に「さんない温泉三内ヘルスセンター」はある。バイパスには接道していないので、住宅街をかすめるように迂回して側道を入っていく。三内の地名が示すとおり、約800m東方には三内丸山遺跡が広がっている。ヘルスセンターとは言うけれど、大衆演劇を上演するような施設ではなく、ましてや健康ランド的な派手さもない。しかしながら大広間などの休憩室を備えており、地元客(とくに高齢者)の憩いの場として活用されているようだ。

料金区分のうち、入館とは入浴+休憩のこと。入浴のみなら大人390円だが、これは青森県の銭湯料金。したがって券売機に記載されている小人とは銭湯でいうところの「中人」(12歳未満)、同じく幼児は「小人」(6歳未満)となる。入館料金の記載と統一すべきではなかろうか。入浴のみといっても脱衣所のホールには、ソファやテレビ、自販機があり、じゅうぶん寛ぐことができる。

浴室はドーム状の屋根で、その広さといい、まるで体育館のようだ。ざっと見たところ2間×8間、つまり32帖ほどの大きな湯船が浴室のほとんどを占め、窓際にカランが一列に並んでいる。ボディソープやシャンプーの備え付けがないのは、銭湯として営業しているからなのか。温泉マニアの間で三内温泉の名が知れ渡っているのは、青森市内では珍しい硫黄泉であることだ。浴室の扉を開けた瞬間にわかるにおいと、まぶしいほどに緑がかった乳白色のお湯。地下750mから湧出しているという。湯船には2mほどの高さから滝のように注がれ、半端でない量がかけ流しされている。温泉の成分で湯船は白く変色し、側面は堆積して滑らかに盛り上がり、底はざらついている。しかし壁は茶色や黒、緑に変色しており、この温泉のすさまじさを感じずにはいられない。

46℃の源泉をそのまま投入しているので、湯温はちょっと熱め。湯船が大きくても皆じっとしてその場を動かず。むしろお湯に浸かるより、床で寝転がっているおじさんの方が多い。平日の朝9時の時点で、男湯には7〜8人の客。女湯はもっと賑やかだったようだ。湯上りはいつまでもじんわりとした温かさが残るが、多少の疲れも残る。床で寝転ぶ人が多いのはわかる気がするし、大広間で休憩しながらの湯治気分も納得がいく。青森市内にいながらにしてこの温泉体験ができるのは、とても貴重だ。地元客と温泉マニアだけの存在にしておくのは勿体無い。

さんない温泉三内ヘルスセンター
源泉/三内ヘルスセンター温泉(含硫黄−ナトリウム−塩化物泉)
住所/青森市三内字沢部306-1 [地図
電話/017-766-0185
交通/JR東北本線青森駅から徒歩10分の古川バス停より乗車し、「三内温泉前」停下車。
料金/(入館)大人800円、中人500円、小人300円、幼児200円
     (入浴)大人390円、小人150円、幼児60円
時間/8:30〜21:00
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シダトモヒロ

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当ブログでご紹介している温浴施設の情報は、すべて自ら訪問し記録したものです。再訪時に料金・設備等で変更点があればその都度追記していますが、施設によっては現在と異なる点がありますのでご了承ください(⇒情報をお寄せください)。 また、当ブログ記載の「交通」は、各施設の公式サイトやパンフレットで公表している情報です。公表なき場合は1分=80mとして計算しています。
神奈川県の銭湯料金
神奈川県の銭湯の料金は下記の通りです。
・大人470円(12歳以上)
・中人200円(6歳以上12歳未満)
・小人100円(6歳未満)
銭湯にはタオル、ボディソープ、シャンプーを持参して行きましょう!

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