山北町立ぶなの湯山北町は神奈川県最西部に位置し、町のほとんどが丹沢山地にあるため、自然豊かな環境が広がっている。登山者には山北町の名はよく知られているが、酒水の滝や丹沢湖など観光の見どころも多い。丹沢湖は町のほぼ中央にあり、昭和53年に完成したダム湖。神奈川県民の水がめであるとともに、ボートやバス釣りなどが楽しめる。そして丹沢湖よりさらに北に4kmほど走ると、中川温泉が見えてくる。

武田信玄が傷ついた兵を湯浴みさせたという伝説のある温泉で、中川川沿いに7軒の旅館と1軒の日帰り入浴施設がある。唯一の日帰り施設というのが山北町が運営する「ぶなの湯」だ。以前から気になっていたのだが、なかなか機会を得ず、ようやく訪れることができたのはゴールデンウィーク真っ只中。山北町といえば普段は静かなことが取り柄だが、この日は県外ナンバーも多数訪れ、オープン20分後だというのに大盛況の賑わいぶりだった。

浴室は大小あり、日替わりであるようだ。訪れたときは男湯が大浴場だった。浴室は8角形をしており、湯船とカランが5つ。そのカランには15人が並ぶという異常事態。さすがゴールデンウィークだと驚くと同時に、お湯につかっていてもなんだか落ち着かない。ガラス張りで明るい室内だが、露天風呂のほうが風がさわやかで気持ちがいい。湯船は石づくりで、塀に囲まれているのが残念だが、丹沢の山並みを眺めることができる。露天風呂はガラガラだったが、ほどなくしてわっと人が押し寄せ、今度は内湯がガラガラに。しばらくするとその逆になるわけで、集団心理というやつかそれとも単なる偶然か。相変わらず洗い場には長蛇の列ができており、終始落ち着かない入浴だった。

山北町ちなみに温泉は無色透明の単純泉。pH10.1の高アルカリ泉で、「美人の湯」といわれているという。単純泉=美人の湯とはよく聞くフレーズではあるが。一般的に肌に刺激がなく、なめらかな入浴感が得られるとは言うが、この混みようではそれを実感するべくもなく。空いている時期を見計らってまたリベンジしたい。

2階は大広間の休憩所になっている。食器棚には急須や湯飲みがあり、持ち込みも自由。勝手にやってくれ的な集会所形式。ぶなの湯のまわりは左写真のような景色が広がっている。ここも神奈川県。山の中ののどかな温泉である。

ぶなの湯
源泉/中川温泉(単純温泉)
住所/足柄上郡山北町中川645-8 [地図
電話/0465-78-3090
交通/JR御殿場線山北駅バス43分「中川」停より徒歩2分
     国道246号線「清水橋」交差点より県道76号線で約10.4km
料金/(2時間)大人700円、小学生以下400円
     (1 日)大人1,000円、小学生以下700円
時間/10:00〜18:00、休日は19:00まで(7/20〜8/31は10:00〜20:00)
     毎週水曜日定休

(追記-2008/2/17)
2月1日より町民割引がスタート。対象は山北町民で、平日2時間限定。大人400円、中学生以下200円。ただし7〜8月の利用は除く