コトリの湯(長野市松城町東条)江戸時代には松代藩の城下町として整備され、第二次大戦末期には松代大本営。歴史の見所で知られる長野市松代町にあるのがコトリの湯。市内に点在するスーパー銭湯のなかでも、おしゃれ度は随一。市内に限らず、国内屈指ではないと思うくらいの完成度だ。建物を巣箱にたとえ、さまざまなアイテムで楽しむ巣ごもりの時間。加えて、善光寺平を見渡す露天風呂やかまど炊きのご飯も一級品だ。

コトリの湯(長野市松城町東条)コトリの湯と検索すると、会社が上位ワードに表示される。もともと「山道温泉 虫歌の湯」としてオープンするも、わずか5年の短命で終えた施設。信濃三十三番札所の虫歌山桑台院に因んでいるようだが、温浴施設の名前として疑問符だったのと、なにより遠く感じてしまう立地なのだろう。そこで、「地域創生・観光事業再生」を手掛ける地元企業によって、2018年に「コトリの湯」として生まれ変わった。はっきりしたコンセプトがあるから、多くの客はここで一日過ごすことを目的としてやって来る。

コトリの湯(長野市松城町東条)入館してまず目を惹くのは、エントランスホールと階段に設けた吹き抜け本棚。おしゃれな本がおしゃれに並び、明るく開放的な空間を演出している。見る角度ごとに「映え」ているし、いちいち立ち止まってしまう。こうしたリニューアル店舗では、風呂はついでという発想になりがち。現に浴室にはアトラクションバスの類は一切なく、通好みと言える。

コトリの湯(長野市松城町東条)磨き丸太の柱と梁で小屋組みを見せ、壁を板張りにして、木のぬくもりを活かした浴室。そこに湯船がひとつあって、窓の外に庭の植栽を眺める。スチームサウナなのは残念だが、身体に負担がなく、万人受けであるという点では良いのかも。小さな水風呂もあるし。

コトリの湯(長野市松城町東条)温泉は加水しているし、特筆すべき泉質というわけでもない。唯一の満足は露天風呂だ。浴室からは少し離れており、だんだんと見えてくる景色にわくわく感が高まる。まずは大きな岩がダイナミックな庭園露天風呂、そしてその先に展望風呂がある。湯船に浸かりながらにして善光寺平を見下ろす、この地ならではの体験だ。

コトリの湯(長野市松城町東条)レストランはオープンキッチンと言ったらよいのか、見せる工夫で本格感を醸し出し、期待感が高まる。客席の雰囲気も都会的だし、メニューともども若い客層に受けが良さそう。客席の視線の延長には庭が広がり、目も愉しませてくれる。こういう店でこそスマホやパソコンから解放されてゆっくり過ごしたいものだが、そうもいかない人のために2階にはコワーキングスペースも設けている。

コトリの湯(長野市松城町東条)「巣ご森」と名付けられた2階全体が休憩スペースで、コワーキングスペースのほか、コミックエリア、リラックスエリアとなんとなく分かれており、いろんな箱を組み合わせた楽しい空間がいくつもある。計算されているのか、自由設計なのか気になるところ。こうしたリニューアルは流行り傾向にあるけれど、コトリの湯は現時点で知る限りの最高傑作と言える。

コトリの湯(長野市松城町東条)極めつけは土管だろう。押し入れのような箱といい、ドラえもんの懐かしさを体験できる。フリーコーヒーもあるし、これらすべてが入館料だけで利用可能なのだから、時間に余裕をもって訪ねたい。首都圏近郊にあったら間違いなく話題を独占しそうだが、立地含めて長野県だから実現した施設なのかも。長野県を旅する際はぜひ立ち寄ってみてほしい。

コトリの湯(長野市松城町)

コトリの湯(長野市松城町東条)

コトリの湯
源泉/皆神温泉と松代城下温泉の混合泉
     (ナトリウム・カルシウム−塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉)
住所/長野市松代町東条2832 [地図]
電話/026-213-5510
交通/国道403号線「長野IC南」交差点より約3.7km
     ※無料駐車場あり
料金/巣ごもりプラン(フリータイム)
      平日大人950円・子供450円、休日大人1,000円・子供500円
     シジュウカラプラン(平日のみ16時〜22時)
      大人800円、子供450円
     ひとっぷろプラン(90分)
      平日大人650円・子供300円、休日大人700円・子供350円
     ラストワン(21時以降)
      大人500円・子供300円
     ※子供は3歳〜小学生、3歳未満無料
時間/10:00〜22:00、毎月第2木曜日定休

※浴室、露天風呂の写真は公式サイトより転載