草加やまとの湯(埼玉県草加市瀬崎)閉店ウォッチャーではないが、草加やまとの湯となれば居ても立っても居られない。スーパー銭湯の一時代を築き、最盛期は全国で20店舗ほどを数えたのではないだろうか。会社倒産によって多くの店舗がリブランドされたなか、「やまとの湯」の名前を唯一残したのが、ここ草加。ボイラーの故障など設備老朽化により、20年の歴史に幕を閉じる。

草加やまとの湯(埼玉県草加市瀬崎)草加市、八潮市、足立区との境界線にほど近く、幹線道路沿いとも言いづらい微妙な立地。平日の夜なのに駐車場はだいぶ埋まっており、館内もファミリー層を主としてだいぶ賑わっていた。閉店を惜しむ声もあちこちから聞こえてきたし、フレンドリーな接客対応も地域に愛されていたからこそ。券売機でチケットを買い、下足箱とロッカーの鍵を引き換える。階段を上がると浴室だ。

草加やまとの湯(埼玉県草加市瀬崎)洗い場が2列分使用禁止だったり、あちこちテープで補修していたり、よく見れば年季を感じさせる点もあるけれど、内階段で屋上露天風呂に通じるとか、なかなか凝った構造。しかし屋上にはこじんまりとした岩風呂1つ(瞑想座湯の仕切りもあり)だけで、黒湯の温泉は千葉県長柄町からの運び湯。かつてはデッキがあったと思しき空間には、テレビと対峙して椅子が1脚のシュールな光景。

草加やまとの湯(埼玉県草加市瀬崎)ひとまとめに並んだジェットバス、替わり湯などスーパー銭湯らしい配置。サウナは2室。ドライサウナは遠赤ヒーター2台。コの字型にベンチを設け、客の出入りが激しいせいか適度な湿度。もうひとつはスチームサウナ。水風呂は温度計が壊れていたけれど、常時吐水と袋詰めの備長炭で爽快感あり。これだけのアイテムが揃って650円はコスパ良すぎ。

草加やまとの湯(埼玉県草加市瀬崎)気軽さがもっとも感じられたのは食事処。テーブル席と座敷があって、ピークタイムはほぼ満卓の賑やかさ。券売機のセルフ方式で、番号端末を渡されるのに、店員さんから「〇番でお待ちのお客さま」と呼び出しも。大衆的でありきたりなラインナップだけど、家族団らんには持って来いなのかなと。

草加やまとの湯(埼玉県草加市瀬崎)いまから20年前といえば、スーパー銭湯ブームによって開店が相次いだ時期。当時からチェーン展開していた同業他社と比べれば、やまとの湯は各店舗とも凝った作りで人気を集めていたと思う。草加店も同様に。しかし、最近になって竜泉寺の湯が出店したことで、煽りを食ったのかと思いきや、庶民派の魅力ですみ分けがなされていたような気も。閉店によって常連さんが流れるのは、草加健康センターなのか湯屋処まつばらなのか。

草加やまとの湯
源泉/房総温泉さとの湯(ナトリウムー炭酸水素塩泉)
住所/埼玉県草加市瀬崎5-38-17 [地図]
電話/048-920-1126
交通/東武伊勢崎線谷塚駅より徒歩15分
     外環自動車道草加ICよりR4経由で約5km
     ※駐車場130台分あり(6時間無料)
料金/大人650円、小学生300円、幼児150円(4歳以上)
時間/10:00〜25:00

※露天風呂、浴室、食事処の写真は公式サイトより転載

草加やまとの湯(埼玉県草加市瀬崎)