井草湯(東京都杉並区下井草)滅多に乗らない西武新宿線。各駅停車で新宿から約20分、井荻駅で降りて井草湯へ。井荻は下井草と上井草に挟まれた駅で、この辺りの旧地名。字のごとく井草と荻窪の組み合わせで、いまは駅名だけに名を残す。環八が都心と郊外の分かれ目だと仮定すれば、環八は井荻駅を南北に貫くから郊外。住宅地が広がり、心なしか空も広い。

駅前から環八を南下すること徒歩5分。井草湯があるのは、早稲田通りと交差する清水三丁目交差点のほど近く。今年4月18日に建て替えオープンした銭湯で、らしくない外観だが、客はどんどん吸い込まれていく。地域コミュニティの場として役割を担っている様子。

井草湯(東京都杉並区下井草)券売機でチケットを購入し、フロントへ。サウナは別料金で、フェイスタオルとバスタオルのレンタルセットも付いてくる。ちなみにサウナは男湯にしかなく、バッグごと引っ掛けておくのが井草湯スタイル。ドアは引っ掛け鍵で開く。脱衣所のロッカーは100円リターン式。

たいていの銭湯は手前に洗い場、奥に湯船を配置するが、新しい銭湯ではセオリーにとらわれず、限られた空間の中での自由な発想。ジャグジー、水風呂、シルキー風呂のほか、浅いバイブラのこども風呂も。幼いうちから銭湯に親しんでもらおうとする、井草湯の未来志向がうかがえる。屋根が半分かかった露天風呂は炭酸泉としており、洗い場では軟水を使用するなど、最近のアイテムも積極的に採用。壁一面に花の紋様をデザインし、上品さを演出している。

コンフォートサウナは遠赤ヒーターに蒸発皿を設けたもので、80℃前後の室温(実際の表示は86℃)と、湿度25〜35%で快適性を追求する。トゲがなく、ソフトな熱さ。これ以上ハードなら疲れてしまうし、これ以下なら物足りない。普段使いの、近所の銭湯ならではのセッティングか。水風呂の冷たさ加減もちょうどいい。

ひと頃は洗練されたデザイナーズ銭湯がもてはやされたけど、こうした実用重視や日常感覚、未来志向に、銭湯の原点を見た思いがする。

いぐさ湯facebookページ
井草湯(杉並浴場組合)

井草湯
住所/東京都杉並区下井草5-3-15 [地図]
電話/03-6913-7226
交通/西武新宿線井荻駅より徒歩6分
料金/大人460円、中人180円、小人80円
     サウナは別途440円(フェイスタオル・バスタオル付き)
時間/14:30〜22:30、毎週月曜日定休