駒の湯(東京都世田谷区三軒茶屋)東京に銭湯は数あれど、サウナーの支持率の高さで言えば三軒茶屋の「駒の湯」だろう。冷たい水風呂として広まったのは2014年発行のムック本「saunner」がきっかけではなかろうか。最新デザイナーズ銭湯やレトロ銭湯に目が行きがちなのに、なんてことはない銭湯(失礼!)が日の目を見る時代。サウナーのフットワークの軽さと情報発信力の賜物だろう。

三軒茶屋駅より歩いて5分ほど。レンガ調の外壁のビル銭湯で、コインランドリーを併設。フロントでサウナ込みの料金(750円)を支払うと、タオルセットの入ったビニールバッグを渡される。赤いバンドがサウナ利用客の証しなのだろうが、誰も手首に巻くことなく、バッグごとフックに引っかけておくのが流儀。

シャンプーやボディーソープは浴室内に備え付けがあるので、サウナ客は手ぶらでOK。手前に洗い場があって、奥には大きな湯船が1つ。ジャグジーと電気風呂の設備あり。タイル壁だが富士山などを描いた数枚のペンキ絵を貼っている。

サウナは奥がコの字2段にベンチを設け、10人も座ったら目一杯な狭さ。最初のうちは遠慮して入口側に座ったから、扉が開くたび寒い。サウナー諸氏のおすすめだし、もっとカーッと熱いのかと思いきや、温度計を見れば80℃でちょっと拍子抜け。いきなりガターンガターンとけたたましい音が響き渡り、さすがに常連も驚いていたが、ヒーターの稼働音だろうか。ボナサームだから身体をやさしく包み込む。

銭湯のわりに水風呂はゆったりとした大きさ。温度計の15℃という数字だけ見れば若干の覚悟もいるが、しっかりと温まっているせいか、身体のほてりをじっくり冷ましていく感じ。休憩する場所がないから立て続けにもう1セット。

三軒茶屋駅銭湯図解の塩谷歩波さんが薦める、人生に疲れたときの銭湯。「サウナで演歌を聴き、そして泣く」はずが、常連さん達から聞こえてくる会話に笑ってしまう。サウナと水風呂のパワーを感じたのは、むしろ店を出て外のベンチで一服しているときだ。冷え切った夜なのに、身体の芯からぽかぽか温かい。手足の先からも。少しばかり活力もみなぎった気がする。

駒の湯(せたがや銭湯ガイド)

駒の湯
住所/東京都世田谷区三軒茶屋2-17-13 [地図]
電話/03-3421-4513
交通/東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋」駅より徒歩5分
料金/大人460円、中人180円、小人80円、サウナは別途290円
時間/15:30〜24:00、毎週月曜日と第1・3火曜日定休