THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)中国の景勝地になぞらえて名が刻まれたことから、大磯は湘南発祥の地とされている。日本で初めて海水浴場が開設されたのも大磯。近代の政財界の大物はこぞって別荘を構え、避暑地ランキング第1位にも輝いた。1953年には大磯ロングビーチホテル(プリンスホテルの前身)が開業。芸能人の水泳大会にご記憶ある方も多いだろう。開業64年を迎え、大磯プリンスホテルでは客室を含むホテル本体をリニューアル。そして湘南の海を一望するスパ施設が誕生した。

THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)かねてよりホテル内には大浴場があり、日帰り入浴客も受け付けていたが(記事)、約1年間の休止を経て、スパ棟を新設。THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)(サーマルスパ エス ウェーブ)として7/15より、まずは宿泊客限定で運用開始。そして9/1より、日帰り入浴客も利用できる運びとなった。ロングビーチは抜群の知名度を誇るも、夏季限定のイメージから、目指すは通年型の「大人のリゾート」へ。

THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)
THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)

THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)宿泊客の早朝利用も見据えて、施設のオープンは朝6時。我が家から30分足らずで到着したが、早すぎたか人影もなく、さっそく不安。ネックとなるのは4,500円の高額料金(宿泊客は無料)。ホテルならではの上品な接客と、館内の洒落た雰囲気に呑み込まれてはいけない。都心の一等地や高級リゾート地でもあるまいし、それに見合う価値はあるのだろうかと。

受付は3階フロントにて。プリンスクラブのポイントカードがあれば、入館料3,800円。入会金や年会費は不要だという。そんな話を聞いたらカードを作らない理由が思い付かない。しかも、手続きは後日郵送かウェブでも良いという。施設は裸で利用する温泉エリア(3階)、水着で利用するスパエリア(4階)に分かれており、レンタル品にはタオルのほかにガウンが付く。しかしこのバッグが大きくて、ロッカーの半分を占めるようでは困ったものだ。

THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)温泉エリアには内風呂と露天風呂が1つずつ、そして洗い場を設けている。室内からでも窓越しに海を眺め、露天風呂は一段低い位置にあるから視界に入らない。全体をモノトーンでまとめ、シックで上質な雰囲気だ。大磯温泉は土地柄もあって塩分を多く含むも、ぬるめに沸かしているから長く浸かっていられる。朝も早過ぎたか貸切状態。ちなみに小学生以下は温泉エリアのみの利用となるが、小学生2,000円の料金設定は拒んでいるようなものかと。

THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)
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フロアマップを見てもなんだかよくわからないのがスパエリア。おしゃれすぎる空間だ。パノラミックサウナの室内は広々として、しかも明るく、もはやサウナの名を借りた自由な発想。室温は50℃にも満たず、サウナーには常温レベルのぬるさだが、おしゃべりしたり、ごろ寝したりと30分も過ごせば良いのかなと。切り取った景色は高級リゾートのよう。しかしもう一方の眺めはまるっきしの田舎。むしろこれが大磯町の景色。

THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)薄暗い室内の岩盤浴では爆睡してしまったので、あまり記憶はない。手持ちのバスタオルを敷いて寝転ぶが、フロア数か所に交換用があり、早い話がバスタオルは使い放題。パノラミックサウナと岩盤浴の側には、雪降るアイスルーム。ぬるい、ひんやりは若いカップルには最高でしょうけど、ガツンと熱い、キンキンに冷たいを求め、フロアの反対側にあるフィンランドサウナへ。

THERMAL SPA S.WAVE(大磯町国府本郷)薄暗い室内はBGMもテレビもなし。たまに廊下の話し声が聞こえるのみ。カラカラ系の約80℃で、焼き板の焦げたにおいが気になるし、アロマ水でのオートロウリュorセルフロウリュがあったら最高だろう。隣接する約15℃の水風呂とともに、ひとり独占して往復。数人いた水着ギャルはオープンエアーでバカンス気分。雨脚と雷鳴は激しくなっても、サウナには寄り付かず。

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リゾート気分を満喫したい客の目当てはインフィニティプール。室内から屋外へと広がり、さらに目の前に広がる海、遥か向こうの水平線との一体感。澄み切った青空の下ならば、3色の青の鮮やかさにきっと心奪われるだろう。めったに雪が降らない土地柄にせよ、冬の時期や悪天候に屋外はつらい。ファイヤープレイスとして暖炉を設けたおしゃれラウンジのほか、カフェバーに並んでわずかな休憩スペース。しかもカフェバーは12時オープンだから、せめて自販機くらい置いていただかないと。

1階にあるレストランバーの宣伝もされなかったし(そもそも気づかなかったし)、リクライニングシートやワークスペースといった諸施設はなく、高い料金の元を取ろうにも過ごしづらい。もちろん宿泊客にとっての付加価値は高く、大磯を訪ねる理由づけになるのかもしれないが。最後に、平塚のグリーンサウナならば、2回行ってもお釣りがくると記しておきたい。

TERMAL SPA S.WAVE(サーマル スパ エス ウェーブ)
源泉/大磯温泉(ナトリウム・カルシウム−塩化物強塩泉)
住所/神奈川県中郡大磯町国府本郷546 大磯プリンスホテル内 [地図]
電話/0463-61-1111 (代表)
交通/JR東海道線大磯駅よりバス13分「大磯プリンスホテル」下車
     国道1号線大磯警察署交差点より350m
     西湘バイパス大磯西ICより1.2km
料金/大人4,500、小学生2,000円、未就学児無料
     SEIBU PRINCE CLUB会員は大人3,800円、小学生1,500円
     宿泊客は無料(大人のみ別途入湯税150円)
     ※小学生以下は温泉フロア(3階)のみ利用可能
     ※スパエリア(4階)は水着を着用のこと
時間/6:00〜24:00(ビジター最終受付17:00)