綱島源泉 湯けむりの庄(横浜市港北区樽町)かつては東京の奥座敷として賑わった綱島温泉。しかし都市化や交通の発達とともに温泉街は衰退し、最後まで残った温泉銭湯の「東京園」も東横線地下化の煽りをくらい、昨年5月に無期限休業となった。そして世代交代のごとく綱島源泉を名乗り、4月20日に新規オープンしたのが「湯けむりの庄」。押しも押されもせぬ人気を博す宮前平源泉 湯けむりの庄の姉妹店だから、自ずと期待が高まる。

綱島源泉 湯けむりの庄(横浜市港北区樽町)綱島駅より大綱橋を渡ったら県道140号線を東へ。大型のロードサイド店をいくつか過ぎたら、やがて見えてくる大きな入場ゲート。そして駐車場の先にはモダンな建物。外には案内看板がひとつもなく、やや不親切にも思うが、これが高級店のこだわりなのか。吹き抜けのロビーは贅沢なほどに広く、まるで一流ホテルのよう。フロントでは利用案内のファイルを片手に説明してくれるが、丁寧すぎて列が出来てしまっている。要するにリストバンド精算で、退館時に一括支払い。タオルセットと館内着を受け取ったら2階へ。

綱島源泉 湯けむりの庄(横浜市港北区樽町)

浴室でまず目を引くのは、枝ぶり見事な松の盆栽。湯船は黒タイルで統一され、そこに湛えられたのは透明感が殆どない黒湯。段差はおろか、一部が電気風呂であることすらわからず。水風呂にも黒湯を使用しており、滑らかな肌ざわりを実感できるが、いかんせん冷たい。バイブラありの水温16.5℃は、サウナでじっくりと汗をかいた後ならよいが。サウナはフィンランド式の大きなストーブを設け、ロウリュを1日3回開催(11:00/15:00/19:00 *女性は30分遅れ)。浴室内にはほかに白湯のジャグジーを設けている。

綱島源泉 湯けむりの庄(横浜市港北区樽町)

露天風呂ではすべての湯船で温泉を使用している。上下2段の円形岩風呂(正確に言うなら縁だけに岩を配した石風呂)は、上段が熱めで、下段はぬるめの半身浴。寝湯は6人分のスペース、そして壺湯ならぬ本御影石風呂が2つ。炭酸琥珀湯の「日本初」との表示には疑問を感じたが、パンフレットの「姉妹店にて、日本で初めて天然温泉に炭酸ガスを溶かし込んだものです」との文言で思い出した。姉妹店とは宮前平のことで、中空糸膜を使用することにより、気泡が弾ける人工炭酸泉の一般的なイメージとは異なる。

露天エリアには塩サウナもあり、こちらではロウリュを1日4回開催している。多くの部分に屋根を設けているのは、土地柄として仕方ないのか。エリアの一角では滝のように水が流れ落ち、適度に配した植栽と、いくつかのデッキチェア。

綱島源泉 湯けむりの庄(横浜市港北区樽町)湯あがりは1階のお休み処で。テレビ付きのリクライニングシートは100席以上。そもそも小学生未満は入館不可だし、大勢でわいわい過ごす店でもない。ひとり訪ねてのんびり寛げる空間はありがたいし、ひとっ風呂浴びて帰るだけだなんてもったいない。今回は時間がなく、岩盤浴や食事が楽しめなかったので、それはまたいずれ訪ねてご紹介したい。

綱島源泉 湯けむりの庄
源泉/ナトリウム−炭酸水素塩冷鉱泉
住所/横浜市港北区樽町3-7-61 [地図]
電話/045-545-4126
交通/東急東横線綱島駅よりバス「樽野谷」停下車
     県道2号線(綱島街道)「樽町」交差点より県道140号線
     ※駐車場213台あり
     (入浴のみなら3時間無料、3,000円以上利用なら7時間無料)
料金/(平日)大人1,296円、小人972円
     (休日)大人1,512円、小人1,188円
     ※レンタルタオル・館内着付き
     ※小学生未満は入館不可
     ※岩盤浴は別途、平日800円、休日900円
時間/9:00〜24:00、年中無休

綱島源泉 湯けむりの庄(横浜市港北区樽町)(追記-2016/7/27) 岩盤浴目当てに再訪。オープンから3か月経ち、多くの人気を集めているようだが、実際の集客力はいかがなものか。一般的には夏になるとスーパー銭湯の客は増えるという。意外に思うかもしれないが、夏休みの子供に引っ張られて大人もやって来るからだ。しかし、綱島の湯けむりの庄では小学生未満の入館を禁止しており、コンセプトからしても夏休みだからと言って、混雑は見られない(お盆休み期間中は例外だろう)。フロントスタッフの数が足らないのか、説明が丁寧すぎるのか、入退館に列をなしているが、平日だから割とゆったり。

綱島源泉 湯けむりの庄(横浜市港北区樽町)岩盤浴と館内着(+タオル)のセットはフロント渡し。ここに限ったことではないが、サイズを客に選ばせるから迷って時間がかかるのであって、スタッフの見立てでは駄目なのだろうか。ひと回り大きいサイズを客が希望した時だけ替えるとか。

岩盤浴でのロウリュは、12:00、18:00、20:00の1日3回。普段は通常の岩盤浴室として使用する「風」にて開催。板をベンチ代わりにするが、客の誘導がないから、なんとなく開始を待ち構える。サイエンスプロデューサーの米村でんじろう先生監修というが、パフォーマンスもいたって普通だし、何が「日本初」で、どうすごいのかよくわからず。そもそも米村でんじろう先生をよく存じ上げないし、いっそのことサウナ王監修とか、サウナーの誰々さん監修の方が説得力ありそう。

ちなみに岩盤浴は「風」以外に3室と、氷柱の立つクールルーム、テレビを観ながらうたた寝できる休憩室がある。全体的に湿度が高く、そしてアロマの香りにちょっと酔った。別途800円(休日900円)は空間演出の高い付加価値を含んでか。豪華な岩盤浴は最近の流行だと言える。

浴室内のフィンランド式サウナで1日3回行われるロウリュは、うちわで最初は3回扇ぎ、再びアロマ水をかけたあとは客のリクエストに応じての回数。3発とか5発とか、この店は優しい客ばかり。露天風呂の塩サウナではロウリュを1日4回開催しており、そもそも湿式なのだから、さらにじっとりするだけ。

綱島源泉 湯けむりの庄(横浜市港北区樽町)平日でも宮前平なら食事処に待ち時間が生じるが、約200席と余裕があるためかピークタイムでもちらほらと空席あり。そのせいかスタッフはあまり活気もなく、宮前平と違って静かで落ち着いた雰囲気だ。