早稲田めぐみの湯(埼玉県三郷市仁蔵)温泉名はたいてい地名が採用されるが、早稲田天然温泉と聞いてピンと来る人がどの程度いようか。都の西北の高田馬場ではなく、本庄早稲田でもなく、正解は埼玉県三郷市。旧早稲田村だというから地元では違和感を感じないかもしれないが、その点で穴場感があるこの施設。三郷駅と新三郷駅のほぼ中間にあって、ぎりぎり徒歩圏。スイミングスクールを1階に併設し、夜は建物の内外がやたらと薄暗い。看板の照明が切れているのは早急に直すべきと思うのだが。

スイミングスクールは当日の営業を終えたのか、フロントを含めたエントランスしか電気が点いておらず、あまりの薄暗さに定休日かと思った。階段またはエレベーターで2階に移動するも、やはり薄暗く、しかも高級感を演出した薄暗さではない。貼り紙によれば、東日本大震災による電力使用の抑制とあるが、館内のがらがら感と相まって、余計に寂しい印象も。

早稲田めぐみの湯(埼玉県三郷市仁蔵)

それでも温泉は素晴らしく、「100%生源泉かけ流し」を謳っている。地下1,500mから湧出し、加温、加水、濾過、薬剤処理を一切行っておらず、しかも毎日換水というこだわりぶり。鉄分と塩分を多く含み、お湯は茶濁色。そこら中に「段差あり」の表示をしている。浴室内では2つ、露天風呂では3つ全ての湯船で温泉を使用しており、湯量豊富なことは明らかだ(毎分300リットル)。

お湯が浅めで半身浴の湯船もあるが、温泉だけだと飽きてくるのも事実。浴室内は地方の温泉センターのような雰囲気だし、露天風呂は開放感こそあれど趣きある景色や造作は一切なし。浴室内には高温サウナ、水風呂、白湯もあるが、全体として通好みの施設であろう。

早稲田めぐみの湯(埼玉県三郷市仁蔵)商売っ気のなさも特筆すべきことで、自販機のジュースは相場より安いことに驚いた。畳敷きの休憩仮眠室もあるから、日がな一日ここで過ごすのも良いかもしれない。やや戸惑ったのは食事処で、いくら夕食時を過ぎたとはいえ、客は1人しかおらず。注文時はカウンターの鐘をチーンと鳴らし、おばちゃんは注文を聞くと裏の厨房へ。無線端末や番号札を渡されるでもなく、「レバニラ定食のお客様〜」と大声で呼ばれるという単純すぎる方式。大勢の客が利用することを想定していないのか。庶民的な品揃えと安心価格は魅力だが。

公式サイトは勝手に音楽が流れるという、前時代的な仕様。「温泉 温泉 温泉 めーぐみの湯〜♪」と素敵なメロディーだ。それも一聴の価値あり。

早稲田めぐみの湯
源泉/早稲田天然温泉めぐみの湯(ナトリウム−塩化物強塩温泉)
住所/埼玉県三郷市仁蔵193-3 [地図
電話/048-957-7777
交通/JR武蔵野線三郷駅北口、新三郷駅東口どちらも徒歩15分
料金/(平日)大人900円、子供450円
     (休日)大人1,000円、子供500円
     ※子供は小学生以下
時間/10:00〜24:00、年中無休