日の出湯(東京都台東区元浅草)浅草通りの稲荷町駅界隈は神仏具店が軒をつらね、裏通りに入れば多くの寺院が点在する。江戸時代初期には門前町が形成されたという。そんな町の一画にあるのが日の出湯だ。

創業は江戸時代末期というから超が付くほどの老舗だが、現在はマンションに建て替えられ、その1階と2階で営業している。玄関先に看板を掲げてはいるものの、思わず素通りしてしまいそうな、銭湯らしくない外観。

日の出湯(東京都台東区元浅草)小さなカウンターで接客するのは、若き経営者、蒲田の第二日の出湯(大田黒湯温泉)の息子さんだ。「いらっしゃいませ。こんにちは」と元気な声で出迎えてくれる。WEBマガジンで銭湯の未来像を発信する一方、最近では本を出版するなど活動は幅広い。

浴室は1階と2階にあって、毎週木曜日に男女が入れ替わる。訪ねた日は男湯が2階で、岩風呂あり。ちなみに1階はスチームサウナがあって、無料で利用できる。浴室内は奥行きの広さを活かして、中央に湯船を2つ配置し(いわゆるセンター浴槽)、左右の壁側にカランがずらりと並ぶ。湯船の1つは樹齢千数百年を超える古代檜で出来ている。扉を隔てて岩風呂があり、四方を囲む壁を竹垣に見立て、天窓からは光が差し込む。露天風呂と呼ぶほどの開放感はないが、落ち着く空間だ。

玄関先には手書きボード、物販棚には手書きPOPを活用するなど、店主の温かい人柄が見て取れる。親と子、あるいは孫ほどに歳の離れた店主と常連客は、フロントで話に花を咲かせていた。結局はいくらハード面が充実してようとも、地域や日常に根ざして商売する以上、ソフト面がおざなりでは集客アップは見込めないはず。「来店客数5割増、売り上げ2倍」の裏側で、店主がどういったことを心がけているのか、それは著書にも記されている。

日の出湯
住所/東京都台東区元浅草2-10-5 [地図]
電話/03-3841-0969
交通/東京メトロ銀座線「稲荷町」駅より徒歩3分
     都営大江戸線・つくばエクスプレス「新御徒町」駅より徒歩6分
     JR各線・地下鉄銀座線・日比谷線「上野」駅より徒歩9分
料金/大人460円、中人180円、小人80円
時間/15:00〜24:00、毎週水曜日定休

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大田黒湯温泉 第二日の出湯