百観音温泉(埼玉県久喜市西大輪)百観音温泉は、とかくマニアには有名な日帰り施設。埼玉県北東部の久喜市(旧鷲宮町)にあって、都心から直線で約50km、電車だと新宿駅、東京駅ともに約1時間の道のり。東鷲宮駅前は整然と区割りされているが、その多くは駐車場。「当日最大500円」「80分100円」といった看板を見て、随分と田舎まで来てしまったな、と。その一画に百観音温泉はあり、駅から徒歩3分の好立地。

百観音温泉(埼玉県久喜市西大輪)百観音温泉の名は敷地内の観音堂に由来する。西国、坂東、秩父の全百箇所の観音霊場の御神体を祀り、現在の観音堂は当主によって平成16年に再建されたもの。百観音温泉の館内でも御守りを販売している。

ちなみに温泉は平成10年に地下1500mから湧出。当初は仮設建物で営業していたが、平成14年の全面改装によって本格営業を開始した。

百観音温泉(埼玉県久喜市西大輪)下足箱の鍵と引き換えにリストバンドを受け取る。入館料は先払い。フロント向かいの暖簾をくぐったら脱衣所。男女の浴室は「阿弥陀の湯」「薬師の湯」と名付けれており、2週間ごとに男女入れ替え。露天風呂が岩風呂か否かが大きな違い。

百観音温泉は日本温泉協会(日本天然温泉審査機構)より、源泉と利用の6項目全てでオール5の最高評価を得た、いわば本物の温泉。57℃の源泉を熱交換によって温度調整を行い、毎分1000リットルの豊富な湯量が完全掛け流し、毎日お湯の入れ換えを可能にしている。常に新鮮な温泉が楽しめる、それがマニアを惹き付ける理由だ。

百観音温泉(埼玉県久喜市西大輪)浴室内には湯船が2つ並んでおり、温度に若干の差をつけているが、百観音温泉は総じて熱め。うっすら黄土色の源泉は塩分を多く含むため、身体の芯からよく温まる。そのせいか半身浴で長湯する客がほとんど。室内にはほかにサウナと水風呂がある。

露天風呂の手前には、いわば半露天風呂。布のシートを屋根代わりとしており、日が沈めば薄暗く、田舎の温泉旅館でも訪ねているかのような錯覚に。立ち湯から岩風呂へとお湯が溢れているが、この立ち湯はなんと46℃強。日帰り温泉施設で熱湯につかれるとは希少価値高しだが、最初は「あれ?こんなもん?」。泉質によるのだろうか、突き刺すような熱さと痛みは徐々にやってくる。

階段を上がると露天風呂。広くゆったりとした岩風呂と、空の広さを感じさせてくれる開放的な空間。平日の夕方だというのに客が多く、休日の混雑ぶりは果たしていかばかりかと。年齢層がわりと高めなのは常連率の高さか。聞こえてくる会話は北関東訛りだが、そういう土地柄なのか。

百観音温泉(埼玉県久喜市西大輪)ひとしきり温泉を堪能したところで、湯あがりの休憩はロビーの丸テーブルか、2階の食事処か。畳敷きの大広間には座卓が並び、さながら田舎の温泉会館。

百観音温泉では改修工事のため3月3日〜4月25日まで休業し、4月26日にリニューアルオープンするという。どこをどう改修するというのか、垢抜けない雰囲気も希少にして貴重だと思うが。

百観音温泉
源泉/東鷲宮百観音温泉(ナトリウム−塩化物強塩泉)
住所/埼玉県久喜市西大輪2-19-1 [地図
電話/0480-59-4126
交通/JR宇都宮線東鷲宮駅より徒歩3分
     ※無料駐車場210台分あり
料金/(温泉コース)大人700円、子供400円
     ※入浴のみ、3時間
     ※子供は3歳〜12歳
     (観音コース)大人1,000円
     ※入浴・館内着レンタル、3時間超過で1時間につき200円
時間/8:00〜23:00(休日は6:30〜23:00)
     毎月第3火曜日定休(祝日の場合は翌日)