美しの湯(東京都杉並区高井戸西)スポーツクラブに併設した温浴施設は意外と多い。スイミングプールと風呂は水の設備や管理で共通するし、ジムで汗を流したら風呂に入りたくもなる。会員制を採用している施設もあれば、会員とビジターで料金の差別化を図っている施設もあり、運営形態はさまざま。杉並区の「美しの湯」はナフスポーツが運営する日帰り温泉施設で、非会員でも気軽に利用することができる。井の頭線高井戸駅より徒歩2分と交通の便もよく、平日なら1,000円未満と都内では良心的な料金。高井戸小学校の隣のマンションを突っ切ると、裏手にある建物が美しの湯。

美しの湯(東京都杉並区高井戸西)券売機でチケットを購入し、フロントに提出すると脱衣所ロッカーで使用するカードを渡される。ビジター用の好きな箇所を使えばよいが、ロッカー扉の裏にカードを挿入しないと閉まらないという、初めてだと戸惑う仕組み。浴室に入ると掛け湯からして温泉を使用。室内には大浴槽のほか、水風呂、高温サウナ、そして多彩なジャグジーはスポーツクラブ併設店ならではか。

露天風呂もさして広くはなく、派手さもなく。大小の岩風呂をメインとし、小さい方は「絹の湯」「炭酸泉」が週替わりとなる。どちらも人気があるはずなのに贅沢な話だが、近所の利用者は毎週楽しみにしていることだろう。大きな岩風呂は「上の湯」「下の湯」という名の通り、温泉の流れによって温度差をつけている。源泉はウーロン茶のような色をしており、地下1600mから湧出しているという。都心の黒湯で塩化物強塩温泉とは珍しいように思う。半身浴でもぽかぽかとよく温まる。露天側にある「縄文釜風呂」は低温スチームサウナのことで、雰囲気からしても縄文や釜風呂はまったくイメージできず。

都心の施設ゆえ開放感は期待していなかったが、高く設けた板塀に圧迫感はなく、岩風呂の背後には緑を眺める。地図で見ると隣地は広大な栗農園。もう一方で隣接する小学校の校庭からは、元気な声が聞こえてくる。周囲に高い建物がないことは都内では貴重だ。

食事処などは地下1階にある。スポーツクラブと共有しているせいか、軽食コーナーのような雰囲気。価格もわりと低料金だったりする。そして、入館料1,000円未満の施設では珍しく、リクライニングシートの休憩スペースも完備。温浴施設としては全てにおいてコンパクトだが、スーパー銭湯愛好家のニーズは満たしており、派手さがないぶん穴場的な魅力がある。1階ロビーでも寛ぐことはできるが、多くの人が眺めていたモニターには温水プールが映し出されていた。地下1階にあるプールは土日祝日に限り、ビジター客も利用できる。

美しの湯(東京都杉並区高井戸西)

美しの湯
源泉/高井戸天然温泉(ナトリウム−塩化物強塩温泉)
住所/東京都杉並区高井戸西2-3-45 [地図
電話/03-3334-0008
交通/京王井の頭線高井戸駅より徒歩2分
     環八通り高井戸駅至近
     ※共用駐車場150台分あり(5時間まで無料)
料金/(平日)大人900円、子供700円
     (休日)大人1,200円、こども1,000円
     (休日22:30以降)大人900円、子供700円
時間/9:30〜24:00、不定休