静岡市内の銭湯はわずか2軒。人口71万人の県庁所在地にあってこの数はなんとも寂しい。もう1軒は以前ご紹介した桜湯。つい数年前までは天狗湯という銭湯もあったが、こちらは建物だけがまだ残っている。

天神湯(静岡市葵区浅間町)駿河国総社の静岡浅間神社のほど近くにあるのが天神湯。ハイカラという言葉がよく似合う看板建築風の外観。番台の上には大正9年10月の日付が入った営業許可書が掲げられていた。この当時の建物のままなのかは聞かなかったが、こうした個性的な銭湯に巡り会えるのも地方ならでは。脱衣所には全国各地の名銭湯のグラビア記事を貼っている。ご主人が根っからの銭湯好きか、はたまたはるばる訪ねてくる銭湯マニアを意識してのことか。記事を見ていると、名銭湯と持て囃されても廃業の憂き目が付きまとう。いつか行こうなどと悠長に考えている場合ではない。

浴室はこじんまりとしたもので、奥に湯船2つなどごく一般的なつくりだが、洗面道具を置く位置が不自然なくらいに高い。そのせいで鏡の寸法は一般的な風呂屋の半分くらいしかない。「風呂屋出入りの職人でないのかな」などと、どうでもいいことを考えつつ入浴。ちなみにカランはガラスブロックの間仕切り側から5、シャワーなしの島列が3-3、反対側の壁側に6つ並んでいる。

浅湯(ジャグジー2基)と深湯は同じ大きさで、湯船の縁も高め。いずれも適温に沸かしており、「ジャスミン」の札がかかるも入浴剤はなし。銭湯といえば「富士山のペンキ絵」というのは東京や神奈川に限ったことで、静岡市では身近すぎるか、富士山はおろか装飾の一切はなし。客もまばら。こうした点では典型的な地方銭湯だと言える。

天神湯
住所/静岡市葵区浅間町1-29 [地図
電話/054-281-4892
交通/JR静岡駅よりバス「静岡高校入口」または「浅間神社」停徒歩2分
料金/大人360円、中人140円、小人70円
時間/15:00〜23:00、毎週月曜日定休