サイボクまきばの湯(埼玉県日高市下大谷沢)サイボクハムといえば、埼玉県では名の知れた食品製造会社のようだ。現在は山梨県や宮城県などに牧場を移転したが、創業地の日高牧場跡の広大な敷地にはハム・ソーセージ工場のほか、レストラン、パークゴルフ場、ミニアスレチックなどがあり、平成14年には温泉が湧出。その2年後には「サイボクまきばの湯」として温泉施設がオープンし、週末観光地として人気を集めている。地下2,000mの大深度掘削だが、日本温泉協会より最高ランクの5つ星認定(6項目中5項目)を受けているというから、数多の日帰り温泉施設とはわけが違う。

サイボクまきばの湯パンフレット

サイボクまきばの湯(埼玉県日高市下大谷沢)玄関先に鎮座するのは、大己貴命と少彦名命を祀ったお社。古い温泉場には温泉神社が付き物だが、こちらは温泉富多(ぶた)神社。牧場主の夢枕に現れた1頭のトンちゃんの「ここ掘れ、ブウブウ」が、この温泉のいわれなのだとか。売店にはハムやソーセージなど自社製造品が並び、品数や売り場の面積も充実。レストランはなぜかつけ麺がイチオシで、その他とんかつなどもあるが、上質なためか気軽な価格設定ではなかった。

今回は雑誌「自遊人」の温泉パスポートを利用して入浴。フロントでは館内の飲食に必要な、リストバンドならぬ「札」を受け取る。吹き抜けのホールがあって、1階には浴室とレストランのほかに、「石ノ湯」なる薬石風呂もある。室内には20余種類の薬石を敷き詰めており、岩盤浴のように楽しむもの。こちらは別途1,000円で20分間とあって、割高な印象を受けた。

サイボクまきばの湯パンフレット

浴室は「風月の湯」「花鳥の湯」と名付けられており、毎週木曜日に男女入れ替え。風月の湯にミストサウナがあるほかは、湯船の形状が若干異なるものの、浴室自体は左右対称。室内はゆったりとしており、露天風呂側に大きくとった窓やアーチ型のひさしなど豪華な印象。内風呂は源泉かけ流しで、ほかに大理石の腰掛足湯、秩父伏流水を使用したジャグジー、高温サウナ。水風呂も秩父伏流水を使用しており、18℃と32℃の2つが並んでいる。温泉自慢については内風呂などに表示。「療養泉」をしきりにアピールするが、この定義自体が鉱泉との区別であるため、「お墨付きをいただき」というほどかしこまった話ではないと思う。むしろ毎分922リットルの豊富な湧出量こそ、誇るべき点ではないのか。

露天風呂は「首相官邸や迎賓館石庭を手がけた石匠・村上金治氏が設計施工」(ぽかなび.jp)。建物自体の「洋」と、露天風呂の「和」がうまく調和している。中央に配置された大きな岩風呂では、石に腰掛けて半身浴も楽しめるよう工夫されており、そしてこの湯船を囲んで「たる湯/つぼ湯」「流水歩行浴/流水立ち湯」「洞窟風呂」「隠れ湯」などがある。しかも階段を上ると東屋風の屋根がかかった「風月の湯」「花鳥の湯」があり、ここは源泉掛け流し。露天風呂の全景を眺めることができる。そしてこの下からは時おり霧が降り注ぎ、この岩風呂は洞窟風呂へと続いており、ここも静かに温泉が楽しめる。趣向を凝らした露天風呂は、実際に入浴していただかないと良さが伝わらないかと思う。

サイボクまきばの湯パンフレット

サイボクまきばの湯(埼玉県日高市下大谷沢)2階の和室大広間や仮眠室が無料で利用でき、土日祝日は女性仮眠室も開放される。手もみマッサージやエステ、個室休憩室もある。休日を満喫するにはもってこいの施設と言えるだろう。地方都市のわりに価格設定は高めだが、2段階の夜間割引もあり、地域住民の癒しの場としても活用されている。

サイボクまきばの湯
源泉/サイボク天然温泉(ナトリウム−塩化物泉)
住所/埼玉県日高市下大谷沢546 [地図
電話/042-989-4126
交通/西武新宿線狭山市駅西口よりバス17分
     東武東上線鶴ヶ島駅西口よりバス25分
     JR川越線笠幡駅よりバス5分
     いずれもサイボクまきばの湯下車
     国道407号線「田木」交差点より東に道なり約2km
     無料駐車場1,000台分あり
料金/(平日)大人1,200円、小人800円
     (休日)大人1,500円、小人1,000円
     (ナイトサービス)大人1,000円、小人700円 ※18:00〜
     (ひとっ風呂ナイト)大人700円、小人500円 ※20:30〜
     ※大人は中学生以上、小人は4歳〜小学生、4歳未満無料
     ※岩盤浴は別途1,000円(1回20分)
時間/10:00〜22:00、毎月1回(水曜日)定休

※2012/12/6より休館中。営業再開は2013/3/末頃を予定。

(追記-2013/1/9)
利用客のレジオネラ菌発症により2012/12/6から営業を自粛。12/27には埼玉県より営業停止命令を受け、消毒方法や管理体制などについて見直しを進めてきたが、事態の重大性を鑑み、2013/1/15をもって閉館を決定した。
サイボク天然温泉「まきばの湯」閉館のお知らせ(PDF)

「五つ星の源泉かけ流し」をうたい、泉質そのものや内外装の雰囲気に対する評価は高かっただけに残念。毎月2連休を設けて徹底的に清掃しているなどとPRしていたが…。今後この建物や源泉をどう活用していくのだろうか。