武の湯(東京都八王子市千人町)八王子と高尾の中間、西八王子は小さい駅ながらも、駅前はこぎれいに整備され、そして夕暮れ時は賑わっていた。駅のすぐ北側には甲州街道(国道20号線)が中央線と並行しており、この一帯の地名は千人町。江戸時代に武蔵と甲斐の国境警備に当たった「八王子千人同心」に由来するという。

武の湯は駅北口から北東に550mほどの住宅地にあり、昭和28年に開業、現在の建物は昭和51年建築とのこと。古きよき銭湯の佇まいで、オリジナルの暖簾がポップに目立って見える。

武の湯(東京都八王子市千人町)下足箱の上にはホーロー看板。番台は改修したのかコンパクトで、しかも高さのない形式。じゅうぶんな数のロッカーもあるが、紛失したのか鍵の付いていない箇所が多い。ほかに乱れ籠、身長計、クラシカルな体重計。

浴室は手前に洗い場、奥に湯船が並んでおり、カランは境壁側に7、島が2列で4-4、外壁側は6。シャワーは壁側のみで、島列にいたっては鏡すらない。しかしシャンプーとボディソープを各列に1セットずつ置くのは、嬉しいサービスだ。

武の湯(東京都八王子市千人町)湯船は小さいほうが深湯で、大きい方が浅湯。どちらもジャグジーが1基あり。温度計は40℃を指しているが、実際はもうちょっと熱め。洗い場もそうだったが、湯船の縁のタイルもあちこちが剥がれ、そこから絶えずお湯があふれている。変色や目地の黒ずみもすさまじい。ここまでのくたびれ具合はひさしぶりに見たが、微笑ましくて応援したい気持ちにもなる。武の湯で唯一新しいものといえば、今年4/19に描き替えたペンキ絵で、丸山清人師による西伊豆。その下には広告看板が、かつては2〜3枚並んでいたようだが、いまは地元の小川耳鼻咽喉科のみ。境壁は花鳥風月(?)のモザイクタイル。

訪れたのは17時ちょっと前で、開店からの客がはけた頃だろうか。途中から貸切になってしまった。八王子といえば学生の町というイメージだが、たまにしか来ないし、1人で来ることはまずないのだという。そして古くからの馴染み客も世代交代が進んでいるとか。個人的にはひさしぶりに「当たり」の銭湯だったが、この楽しさを皆さんにぜひ共感していただきたい。

武の湯
住所/東京都八王子市千人町1-7-10 [地図
電話/042-661-3114
交通/JR中央線西八王子駅より徒歩8分
料金/大人450円、中人180円、小人80円
時間/16:00〜23:00、毎週木曜日定休

(追記-2016/10/1)
武の湯は2013/7/31をもって廃業しました。