菊の湯(横須賀市小矢部)「町の銭湯」の魅力をいくつか考えてみたとき、行き着くのは各銭湯の個性ではないかと思う今日この頃。設備うんぬんよりも、ローカル色丸出しのほうが印象的だったりする。その点、菊の湯は暖簾をくぐる前からわくわく感いっぱいだった。車で訪れたのが失敗だったが、衣笠駅を通過してから曲がり角を間違えて遠回りを強いられ、住宅地の狭い道を通る羽目に。看板を見つけたときはホッとしたがそこはコインランドリーで、「駐車場はこちら→」の看板に従ってやっとの思いで切り返し、やっとの思いで車を止める。

菊の湯(横須賀市小矢部)ちょうどそこに菊の湯のご主人がいて、「向こうでも良かったのに」と言われるがあとの祭り。「やっとの思い」とは、菊の湯で使用する廃材が邪魔でハンドルが切れなかったのだが、すべては3ナンバーの車が悪いのだ。衣笠十字路から小矢部交番経由が正しいルートだと思う。写真1枚目は路地側に面した店舗正面、2枚目はコインランドリー側で、この間と裏側には廃材がたくさん積んである。駐車場はそれぞれ3台分程度。

菊の湯(横須賀市小矢部)ご主人によれば、もう50年くらい銭湯を営んでいるという。衣笠山や大楠山のハイキング帰りに立ち寄る客もたまにいるそうだが、常連によって支えられていることは一見してわかる。

フロントの右手は男湯で型板ガラスのサッシ、左手突き当たりは女湯で暖簾が下がっている。平面配置や建材からして銭湯らしくないが、脱衣所もそう。室内の端にロッカーを置けばもっと広々使えるだろうと思うが、ご主人も常連もこれで良かれなのだろう。剥がれたクロスをガムテープで補修したりと味わいがある。

菊の湯(横須賀市小矢部)浴室に入れば、向こう側にある釜場との扉は開けっ放しなので、下風呂から配管、洗濯物まで丸見え。カランは壁側に7つ、5-5と6-6の島が2列あるが、シャワーがところどころ無かったり壊れていたりする。湯船は座湯ジャグジー、浅湯バイブラ、宝寿湯+実母散の薬湯の3つ。薬湯だけが温めで、ほかは温くも熱くもなく。サウナに隣接して水風呂もあるが、ここは強烈に冷たかった。温度計は15℃を指しており、身を沈めるがすぐにギブアップ。

背景はモザイクタイルで描いた湖畔と水車小屋、境壁には富士山と鯉の2枚のタイル絵。浴室はまともで(というと失礼だが)安心した。常連さんたちの湯船、サウナ、水風呂のルーティンを見ていると、菊の湯で汗を流すこと自体が日常のルーティンに組み込まれているのだろうと、ひとり納得してしまう。しかし、よそ者でもなぜか居心地の良い銭湯だった。

菊の湯(神奈川県浴場組合)

菊の湯
住所/横須賀市小矢部1-7-2 [地図
電話/046-836-4527
交通/JR横須賀線衣笠駅より徒歩12分
料金/大人450円、中人180円、小人80円
     サウナは別途150円
時間/15:00〜21:00(日曜日は9:00〜21:00)
     毎月5日・15日・25日定休