大黒湯(東京都渋谷区西原)代々木上原駅東口から東に歩き、商店街振興組合のガラス張りの建物が見えたらその角を北へ。しばらくすると見えるのが代々木上原唯一の銭湯「大黒湯」だ。5階建のマンション銭湯だが、エントランスは両側に洗濯機がずらり。加山雄三やアグネスチャンなど芸能人の色あせたサイン色紙も数多く並んでいる。ムード歌謡が流れるその空間はまさしくアジア。ロックテイストに満ちた若者を見かけたのは、この街の奥深さか。

大黒湯(東京都渋谷区西原)大黒湯(東京都渋谷区西原)大黒湯(東京都渋谷区西原)

「ごろつき」という任侠映画のポスターを横目にしつつ自動ドアを開ければ、目の前にはフロント。脱衣所は100円返却式のロッカー。そしてここにもサイン色紙。さらには相撲の番付、金田正一の新聞記事、キックボクシングの写真パネルなど、ごった煮感が楽しい。共通しているのは、それらが古いということ。すなわち、昭和を生き抜いてきた大黒湯の歴史だろう。

大黒湯(東京都渋谷区西原)サウナは別料金だが、脱衣所から出入りする。暖簾の向こうは利用者専用スペースで、休憩用に応接セットも備えており、300円の価値を打ち出している。

浴室は間仕切り側にカランが5つ、ほか4-4の島が2列。反対の壁側は立ちシャワーが3つ。湯船は3つ並んでおり、まずはカプセル風呂。壁と天井を設けた小部屋のつくりで、扉は2つある。「ラドン風呂」「ミストサウナ」。どちらから入っても同じで、室内には2帖の湯船(電気風呂)があるのみ。お湯は40℃ほど、バイブラ湯かつ壁に取り付けられた配管から霧状にお湯が噴き出し、マイナスイオンに満ちた空間となっている。

隣の湯船にはジャグジーが3基あって、箱に納められたガリウム石が底に沈んでいる。カプセル風呂にもお湯は通じているため、ラドン風呂と名付けているのだ。そして最後は水風呂。天然の地下水を売りにしており、水温は20℃くらいだが、バイブラのぶくぶくによってさらに冷たく感じる。

間仕切り壁のタイル絵は、京都の清水寺や金閣寺を描いたもの。背景のタイル絵は山並みと飛行機を描いたもの。ジャグジー風呂からは真正面に脱衣所のテレビを眺める。しかし浴室にもムード歌謡が流れ、昭和の雰囲気に酔ってしまうのであった。個性的で印象に残る銭湯だ。

大黒湯(東京都浴場組合)
大黒湯@うえはら駅前どっとコム(代々木上原駅前商店街振興組合)

大黒湯
住所/東京都渋谷区西原3-24-5 [地図
電話/03-3485-1701
交通/小田急線・東京メトロ千代田線代々木上原駅より徒歩3分
料金/大人450円、中人180円、小人80円
     ※サウナは別途300円
時間/16:00〜25:00(日曜日は13:00〜25:00)
     毎月第1・3水曜日定休

明日放送(2012/8/14)の「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」では、まむちゃんが大黒湯を訪ねる。TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」内のコーナー番組で、10:30頃からの放送。