鶴の湯(東京都文京区千駄木)先月は千駄ヶ谷の鶴の湯を紹介したが、今回は千駄木の鶴の湯。似たような地名で同じ屋号とはまぎらわしいが、こちらも昔ながらの風情を残す名銭湯だ。千駄木、本駒込のどちらもほぼ変わらぬ距離だが、込み入った住宅地にあるため通りを間違えるとややこしそう。団子坂からだと角を2度曲がるが、目印もなく、迷子にならなかったのは奇跡だったかもしれない。

千鳥破風の屋根を持つ堂々たる佇まいで、玄関先は洒落た感じ+バリアフリーに改修済み。大黒様が出迎えてくれる。番台の女将さんはちゃきちゃきした方で、スタンプノートを差し出したら「暑いなかご苦労様」とボディソープを頂戴し、なおかつ湯船やペンキ絵のことを丁寧に教えてくれた。そして「1時間でも2時間でもごゆっくり」と声を掛けてくれた。女将さんのお人柄が気に入って、遠方から鶴の湯を訪ねるファンも多いことだろう。

もともとは他人が経営していた銭湯だが、引き継いでから90年ほどになるという。建て替えたのは昭和35〜36年頃。脱衣所は広々としており、濡れ縁で喫煙可。

浴室の手前にはカランが壁側に5つずつ、4-4、片側のみ4つの列で並んでいる。出入口の扉わきには小さな浴槽があって、ふたがされていたが、ここは上がり湯として使っていたのだろうか。湯船は3つ並んでおり、深湯(バイブラ湯・ボディマッサージ)、浅湯(ジャグジー2基)、深湯(実母散薬湯)。

ペンキ絵は故早川利光師による「南伊豆」。朝焼けの富士山が描かれている。富士は不二に通じるとして男女いずれかに描かれることが多いが、鶴の湯では女湯も富士山だ。さらには浴室の入口側にも大きな富士山が描かれている。こちらは中島盛夫師2011/12/24の作。「背景画」だと見上げる姿勢になるが、これなら湯船につかりながらゆったりと眺めることができる。そして、3つの富士山は日本でもここだけだろう。

鶴の湯(東京都浴場組合)
鶴の湯(文京区浴場組合)

鶴の湯
住所/東京都文京区千駄木5-32-2 [地図
電話/03-3821-2514
交通/東京メトロ南北線本駒込駅より徒歩7分
     東京メトロ千代田線千駄木駅より徒歩8分
料金/大人450円、中人180円、小人80円
時間/16:00〜24:00、毎週土曜日定休