荒神の湯(岐阜県高山市奥飛騨温泉郷栃尾)平湯温泉から国道471号線を北に向かうと、福地温泉や新平湯温泉を経て、栃尾温泉に至る。神岡町(現飛騨市)や新穂高方面への分岐点にあたり、10数軒の民宿が建ち並ぶ小さな温泉街だ。開湯時期は不明だが、トチの木がたくさんあったことから栃尾の名が付いたという。蒲田川の河原に湧くのが「荒神の湯」で、ここは寸志で利用できる人気施設。「神代の昔、荒神様がこの世の様に、怒り、荒れた、民は荒神様を鎮めるためこの地に焼岳の御湯を溜めた、荒神様はこのお湯につかり心を癒し治まった。この後この世の民にさとしたと言う、言い伝えの癒しの湯です」(看板より。原文ママ)。

荒神の湯(岐阜県高山市奥飛騨温泉郷栃尾)荒神の湯の隣にある駐車場はあいにく満車だった。温泉や川遊びというより、明らかにオートキャンプを目的としている人たち。禁止事項として看板に書いてあるにもかかわらず、楽しくランチの真っ最中。その光景に呆れつつ、道向かいの駐車場へ。こちらは空いていた。荒神の湯は無人施設なので、寸志箱にお金を入れる。「防犯カメラ作動中」のステッカーが旅情を現実へと引き戻す。男湯は「ふれあいの湯」、女湯は「狭霧の湯」。脱衣所のカゴは足りていないので、たたんで棚に置いておく。おじさんを中心に、この日は客が多かった。

荒神の湯(岐阜県高山市奥飛騨温泉郷栃尾)岩風呂が道路側と川側に2つあるが、交互に使用しているという。この日は道路側の湯船。対岸には山がそびえ、立ち上がるとゆったりと流れる蒲田川を眺める。のんびりとした景色だ。湯船につかるなり、おじさんに「こっちはぬるいぞ」と声を掛けられた。それもそのはず、おじさんはホース(水が出ている)を抱えて入浴しているのだから。お湯は無色透明で、わずかに糸状の湯の花が舞っている。

会話から察するに、おじさんたちはオートキャンプをしながら旅している様子。安くて楽しめる場所をいろいろ知っているようだが、駐車場の件を考えるともやもやした気分。空いている日にゆっくりとお湯につかりたいなぁと思う。

荒神の湯
源泉/栃尾温泉(単純温泉)
住所/岐阜県高山市奥飛騨温泉郷栃尾 [地図
電話/0578-89-2614(奥飛騨温泉郷観光協会)
交通/JR高山本線高山駅よりバス1時間20分
    JR篠ノ井線松本駅よりバス1時間45分
    国道471号線・県道475号線「栃尾」交差点至近
    (平湯温泉街より国道471号線で約9km)
料金/寸志(200円程度)
時間/8:00〜22:00

奥飛騨温泉郷観光協会
岐阜県温泉協会