戸狩温泉はスキー場と温泉の町として有名だが、意外なことにいずれの歴史も浅い。スキー場が開業したのは昭和31年で、現在までに3ヶ所のゲレンデが整備されている。一方、温泉が湧出したのは平成3年のこと。スキー場の付加価値向上のために地元にとっては悲願であり、地下1081mから毎分420リットルが湧出したという。その翌年、ペガサスゲレンデの近くに「暁の湯」、オリオンゲレンデの近くに「望の湯」という2つの共同浴場を新設し、現在では各民宿に温泉を供給している。詳細は「戸狩温泉のご案内」(戸狩温泉スキー場)にて。

暁の湯(長野県飯山市豊田)「暁の湯」「望の湯」はいずれも内風呂と露天風呂を備え、料金的にも共同浴場というより日帰り温泉施設といったほうがふさわしい。暁の湯を訪ねたときは日もどっぷり暮れていたが、スキーのオフシーズンは町に活気がなく、薄暗い。暁の湯も節電なのか大看板も電飾は片面のみ。隣接する食堂も客がまばら。この時期、この時間帯に入浴に訪れるのは、大半が地元住民なのだろう。

せっかくの板張りの外観なのに、照明がないと看板すら見えない。効果的に照らすことはできないものか。玄関先の「営業中」という貼り紙がむなしい。ロビーは畳スペースも備えているが、がらーんとしていた。脱衣所では棚を使用するが、貴重品ロッカーは脱衣所内とロビーにある。浴室には10帖ほどあろうかという大きな湯船が1つ。洗い場は8人分のカラン。内装は壁と天井が板張りで、梁などは重厚感があって見事。今後ますます年月を経るにつれ、黒ずんで渋みを増していくのではないだろうか。湯船のお湯は循環併用だが、大量にかけ流しされている。

露天風呂は大きな石を並べてつくったもので、内風呂よりひと回り小さい。1mほどの高さで塀を廻らせているが、立ち上がると遠くに山の稜線を眺める。意外と高台にあるようで、街道沿いの集落の明かりなども。のどかな雰囲気と開放感が楽しめる。お湯はちょっと熱めで、湯上りもよく温まる。時間帯や曜日によっては、もうちょっと料金が安ければ…というのが率直な感想。さらなる魅力を追求して欲しい。

暁の湯
源泉/戸狩温泉(単純温泉)
住所/長野県飯山市豊田6530-2 [地図
電話/0269-65-4798
交通/JR飯山線戸狩野沢温泉駅よりバス5分
     上信越道豊田飯山ICより国道117号線で約25分
料金/大人500円、子供300円
時間/11:00〜21:00、毎週月曜日定休

戸狩温泉スキー場
戸狩観光協会
信州いいやま観光局

望の湯
住所/長野県飯山市豊田7033-3 [地図
電話/0269-65-2629
料金/大人500円、子供300円
時間/11:00〜21:00、毎週火曜日定休