さはこの湯温泉保養所(福島県いわき市常磐湯本町)いわき湯本温泉(旧常磐湯本温泉)の開湯は古く、奈良時代まで遡るという。かつてはこの地は「佐波古」と呼ばれ、のちに三箱、そして現在の三函に引き継がれている。「三箱の御湯」と呼ばれていた頃は、道後温泉、有馬温泉とともに日本の三古泉として知られ、さらに江戸時代には浜街道唯一の温泉宿場町として、年間2万人の湯治客や遊客で賑わったという。明治に入ると常磐炭鉱の石炭採掘で一時は温泉の湧出が止まってしまったが、現在は地下50mの泉源から毎分5,000リットルの豊富な湯量が湧出し、各施設へと配湯されている。いわき湯本温泉の名が全国に知られるようになったのは「スパリゾートハワイアンズ」(旧常磐ハワイアンセンター)の功績だろう。現在は年間35万人の観光客が訪れるという。

温泉街は湯本駅の北西に開けており、旅館組合加盟の宿は28軒、共同浴場は「上の湯」「みゆきの湯」「さはこの湯」の3軒。このうち、観光客でも手軽に入浴できる施設として人気が高いのが「さはこの湯」だ。平成7年10月のオープンで、純和風の建物は江戸末期の建築様式を再現しているのだという。とはいえ館内は典型的な公共施設の雰囲気で、建物の規模こそ大きいけれど、浴室は1階フロアの半分だけ。2階は湯本温泉の歴史を紹介する資料展示コーナー、3階は大広間。あとの予定があったので長居しなかったが、「保養所」の名の通り、日がな一日過ごす人もいるのだろう。

券売機でチケットを購入して受付に提出。貴重品はホールにある暗証番号式のボックスへ。おばちゃんに使い方を教えてもらったが、同じように尋ねる人は多いだろうなぁ。もっとシンプルなものにすれば良かったのに。浴室は「幸福の湯(桧風呂)」「宝の湯(岩風呂)」と名づけられ、男女日替わりとなる。どちらも内風呂のみ。訪れた日は男湯が幸福の湯で、浴室内には8角形の湯船ともう1つ小さな湯船があった。パンフレットには小さいほうが「熱湯」だと書いてあるが、個人的にはあまりその差がわからず。福島県だと飯坂温泉の共同浴場などは尋常じゃないほどの熱湯だったが、さはこの湯はちょっと熱めという程度。源泉は59.7℃で放流式。お湯は無色透明だが、浴室内にも硫黄臭が漂うので、温泉気分はいやが上にも盛り上がる。泉質はいい。しかし、窓の外にすばらしい景色が広がっているわけでもなく、湯船がすごく大きいわけでもなく、明るい雰囲気でもなく、かといって鄙びてもいない。可も不可もなくといった印象だが、昼間なのに客の出入りが絶えないのは、入浴料金の安さに魅力があるのだろう。いわき湯本温泉はスパリゾートハワイアンズだけじゃない。せっかく訪れたなら温泉場を散策し、共同浴場の雰囲気を味わってみてほしい。

さはこの湯温泉保養所
源泉/いわき湯本温泉(含硫黄−ナトリウム−塩化物・硫酸塩泉)
住所/福島県いわき市常磐湯本町三函176-1 [地図
電話/0246-43-0385
交通/JR常磐線湯本駅より徒歩10分
     国道6号線(常磐浜街道)「湯本跨線橋東」交差点より温泉街へ。
     無料駐車場は3ヶ所にあり普通車合計61台分あり
料金/大人200円、小人100円
     休憩:大人710円、小人510円(10:00〜16:00)
     ※小人とは3歳以上小学生以下
時間/8:00〜10:00、毎月第3火曜日定休(祝日の場合は翌日)

いわき湯本温泉旅館協同組合