笹湯(群馬県長野原町川原湯)川原湯温泉には前回ご紹介した王湯のほかに、笹湯という共同浴場がある。王湯が観光客向けの建物と立地であるのに対し、笹湯は典型的な地元住民向け。温泉街の通りには面しておらず、聖天様露天風呂の看板の斜向かいにある建物のわきの階段を下っていく。言葉でも説明しにくいが、現地ではもっとわかりにくい。道路から見下す場所に建つ古びた木造の建物が笹湯で、そこまでに至る途中には八ツ場ダム建設で立ち退きを余儀なくされたのか、建物の基礎だけが数棟分残っている。物悲しい風景を眺めていたら、ふいに工事関係者に声を掛けられた。「観光客ですが…」と言ったら、「そうですか。良かった良かった…」と。いったい何が良かったのか…。

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笹湯は無人施設で、入口には料金箱が設置されている。聖天様露天風呂と同様に、地元の子供達が周辺の清掃をしており、入浴料金の一部が活動資金に充てられているという。脱衣スペースと浴室との間には仕切りもなく、一体の空間となっている。二面採光であることに加え、勾配天井で明るく開放感もある。備品もきれいに整頓されており、好感が持てる。

笹湯(群馬県長野原町川原湯)川原湯温泉の源泉は高温であるため、「湯かげんを確かめてからお入りください」と書いてある。掛け湯したら熱くて驚いたが、それもそのはず、ホースから水が出ていない。王湯では「水は絶対に止めないで!!」とあったが、笹湯では「水を止めておいてください」とあるのだ。確かに誰もいないのに水を出しっぱなしではもったいない。しかしこれでは熱くて入浴不可能。蛇口を全開にして桶で攪拌するが、それ以上に熱湯が出ているし、熱くて手を突っ込むことすらできない。さんざん頑張っても状況はよくならず、仕方なく桶にお湯と水を1:1で混ぜて何度か掛け湯。それを繰り返してごまかすことにした。これまで幾度となく熱湯にチャレンジしてきたが、熱すぎて入浴を断念したのは初めて。笹湯、恐るべし。温度計を持って行かなかったことを後悔した。

川原湯温泉観光協会

笹湯
源泉/川原湯温泉(含硫黄-カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉)
住所/群馬県吾妻郡長野原町大字川原湯 [地図
電話/0279-83-2591(川原湯温泉観光協会)
交通/JR吾妻線川原湯温泉駅より徒歩10分
     関越自動車道渋川伊香保ICから国道17~353~145号経由で約40km
     ※川原湯温泉街に無料駐車場何ヶ所かあり
料金/大人300円、子供200円
     休憩室利用の場合は大人600円、子供300円(入浴料込み・4時間以内)
時間/10:00~17:00

川原湯温泉についての記事
聖天様露天風呂
王湯
笹湯

(追記-2011/10/13)
八ッ場ダム建設に伴う代替地移転が進み、利用者が減ったため、2011年10月6日をもって閉鎖しました。今後は移転していない住民らが自主管理しながら使用し、将来は代替地に新築される予定とのこと。
温泉ファンに惜しまれ「笹湯」閉館(YOMIURI ONLINE-2011/10/12)