王湯(群馬県長野原町)八ツ場ダムは建設されるのか中止されるのか、政治の思惑に翻弄されっぱなしの群馬県川原湯温泉。しかし着々と工事は進められており、平日などは人通り少なく静かな温泉街に重機の音だけが響き渡る。以前は「聖天様露天風呂(⇒記事)」だけ訪れたが、今回は王湯と笹湯という2つの共同浴場へ。まずは王湯の話から。

王湯(群馬県長野原町)川原湯温泉の発見には諸説あるが、その1つは源頼朝が建久4年(1193)に発見したという説だ。王湯の玄関先には「笹竜胆(ささりんどう)」の紋が掲げられているが、これは源氏の家紋なのだという。王湯は斜面に建っていて、館内の階段を下ると脱衣所、さらに階段で下ると浴室がある。脱衣所から浴室を見下ろす格好だが、浴室から見上げると、実際は脱衣所がせり出している構造だ。浴室の隅にはドアがあって、屋外に通じている。観光客は玄関から入館するが、地元住民は道路から浴室へと直接出入りしているようだ。ドアのわきには下足棚もあるし、外側の小空間には脱衣籠も置いてある。(写真のドアは女湯へと通じている)

王湯(群馬県長野原町)浴室には3帖ほどの湯船とカランが2つ。湯船には3本の管からお湯が注がれているが、川原湯温泉の源泉は71.6℃の熱湯であるため、蛇口からは水も絶えず注がれている。「水を止めたら熱くてとても入れません。子供づれの人は特に湯の温度を確かめて入ってください。水は絶対に止めないで!!」という手書きの注意書きが貼ってある。聖天様露天風呂で熱いのは覚悟していたが、熱さとしては我慢できる範囲。お湯を飲んでみると、多少の塩気とともにほのかに硫黄の香りがした。

王湯(群馬県長野原町)王湯(群馬県長野原町)王湯(群馬県長野原町)

王湯には露天風呂もあり、いったん服を着て渡り廊下で移動する。ここも湯船1つで内風呂に比べれば幾分ぬるい。すぐ近くに建つ旅館と雑木林に面しているため、景色は聖天様露天風呂に敵わないが、格安の入浴料で趣の異なる2つのお湯を堪能できる点ですでに満足。川原湯温泉散策では外すことのできない共同浴場だけに、ぜひ訪れてみてほしい。

川原湯温泉観光協会

王湯
源泉/川原湯温泉(含硫黄-カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉)
住所/群馬県吾妻郡長野原町大字川原湯 
電話/0279-83-2591(川原湯温泉観光協会)
交通/JR吾妻線川原湯温泉駅より徒歩12分
     関越自動車道渋川伊香保ICから国道17~353~145号経由で約40km
     ※川原湯温泉街に無料駐車場何ヶ所かあり
料金/大人300円、子供200円
     休憩室利用の場合は大人600円、子供300円(入浴料込み・4時間以内)
時間/10:00~18:00、1/1と1/20定休

川原湯温泉足湯川原湯神社
王湯の近くにある新源泉と足湯、そして川原湯神社。

川原湯温泉についての記事
聖天様露天風呂
王湯
笹湯