先日ふと思い立って群馬県の温泉を訪ねたのだが、草津温泉で立ち寄った蕎麦屋に置いてあったのが「楽遊人」という地元出版社が発行するフリーマガジン。巻末には日帰り温泉ガイドがあって、何気なく眺めていたら素晴らしいネーミングの施設を発見。なんと!群馬ハワイアンセンター! 地図で確認すると、中之条町中心部から沼田市方面へ。遠回りして帰るようだが、ぜひ行ってみなければなるまい。草津での共同浴場めぐりもそこそこに、高山村へと出発した。

群馬ハワイアンセンター(群馬県高山村)高山村の人口は4,000人余り。四方を山々に囲まれた農村である。この村になぜハワイアンセンターがあるのか?本当にあるのか?道端に看板があっても良さそうなのに、あるのは「大理石村ロックハート城」の看板ばかり(これは群馬県内あちこちで見かける)。カーナビの指示通り走っていくと、やがて「高山温泉ふれあいプラザ」に到着した。目的地をセットした時点で「おかしいな」とは思っていたが、やはりここだったか。公営施設だけあって建築にお金をかけたことは一目瞭然だが、却って何の施設だかわかりにくい。正面に幟を何本も立てているが、ハワイアンセンターの文字はどこにもない。唯一あったのはフラダンスを踊っている女性のポスター、しかも1枚だけ。

群馬ハワイアンセンター(群馬県高山村)群馬ハワイアンセンター(群馬県高山村)群馬ハワイアンセンター(群馬県高山村)

玄関先には南国調の観葉植物の鉢植えとともに、東京都の人から寄贈された石膏像が2体。どう見ても中世ヨーロッパをイメージしたものだが。地方の温泉施設の定番である物産品売り場、通路には南国のビーチを写した特大パネル、ハワイ島コナの海洋深層水の販売など、努力こそ認めるが、いまだコンセプトが定まっていない感じもする。大広間ではフラダンスの…練習中。本番のショーは昼間に(休日は夜間も)行われているようで、ちょうど訪れた時はフラ教室をやっていたのだ。熱心に踊る地元の主婦たち、それを眺めている風呂上がりの客。健康ランドのような空気が漂っていた。

群馬ハワイアンセンター(群馬県高山村)群馬ハワイアンセンター(群馬県高山村)群馬ハワイアンセンター(群馬県高山村)

浴室にも観葉植物が置かれているが、残念ながら南国の雰囲気はまったく感じられなかった。植物の成長を待たねばなるまいか。浴室の真ん中に配置された円形の湯船は広々としており、循環式ながらもお湯はちゃんとあふれている。個性はあまりないが、温泉であることはすぐにわかる。一方で隅の方にある小さな湯船では、塩素のにおいが気になる。「本日のハーブ湯」とプレートが出ているが、何ヶ月も前から「ヒノキ風呂」をやっているようだ。プラケースには球形のヒノキが入っているのだが、塩素のにおいのほうが勝っている。とても残念だし、そもそもヒノキって思いっきり和風じゃないか。露天風呂でも若干塩素臭を感じたが、それよりも内風呂との泉質の違いが気になった。露天のほうは温泉らしさが乏しいというか…。とはいえ、周囲の山々を見渡す開放感は素晴らしい。お湯はぬるめなので、寝湯では本当にうたた寝してしまいそうだ。というのが浴室で、そういえばサウナも完備。

群馬ハワイアンセンター(群馬県高山村)館内には温泉プールもあり、パンフレットの写真で見る限りでは、こちらのほうがハワイアンっぽいかもしれない。そこかしこにやしの木っぽい鉢植えが並んでいる。水着とスイムキャップを着用するので(レンタルもあり)、言わば混浴。家族づれはもちろんカップルでも楽しめる。そして、なんとコテージも併設しているので、宿泊してハワイアンセンターを満喫することもできる(1棟12,000円。土曜日と祝前日・繁忙期をのぞく)。館内の食事は和洋中を味わえるそうだが、Twitterによると「人気食事ランキング」は、1位手打ちそば、2位あがしし担担翡翠麺、3位ロコモコ、4位マグロ漬け丼、5位ソースカツ丼なんだとか。3位のロコモコがむしろ善戦していると言えるのか。スパリゾートハワイアンズの気分で訪れると大きなギャップを感じるが、常磐ハワイアンセンターだって手探りのスタートだった。訪れるには時期がまだ早すぎたのかもしれないが、ハワイアンリゾートとして成長していく過程を見守っていきたいものだ。

群馬ハワイアンセンター(高山温泉ふれあいプラザ)
源泉/高山温泉(内風呂:ナトリウム・カルシウム-塩化物泉、露天:温泉法の温泉)
住所/群馬県吾妻郡高山村中山2357-1 [地図]
電話/0279-63-2000
交通/JR吾妻線中之条駅よりバス25分「高山温泉」下車
     国道145号線で「判形」交差点の東側で分かれる通りを南へ
     中之条駅より車で約15分、沼田駅より車で約20分
料金/大人500円、小人300円(特定日料金設定あり)
時間/10:00~21:00、毎月10日定休(土日祝日の場合は翌平日が定休)

わくわくたかやま
高山村観光大使Twitter
高山温泉いぶきの湯
  (高山村中山3999-1、大人300円・小人200円)

(追記:2011/4/28)
2011年2月をもって「群馬ハワイアンセンター」としての営業を終了し、現在は「高山温泉ふれあいプラザ」として営業しています。
どうやら指定管理者の変更によるらしく、観光案内サイトも「わくわくたかやま」に変更され(上記は修正済み)、twitterのアカウントは削除されています。