東洋健康センター(郡山市喜久田町字松ヶ作)福島県郡山市にはオールナイト営業の健康ランドは1軒のみ。市内を東西に貫く国道49号線沿いにあって、東北道郡山ICから車で3分ほどの距離にある「東洋健康センター」だ。物流団地に接し、郊外型の立地ではあるが、大衆演劇(入館料のみで観劇可)を連日公演していることにより、幅広い客層で賑わっている。今回は開成山球場での野球観戦のあとに訪れたのだが、試合後に繁華街の居酒屋に立ち寄ったこともあり、入館は深夜1:50。土曜日だからか「本日休憩室混雑」の看板も出ており、ロビーのベンチで横になって寝ている人も。もし満室ならネットカフェにでも移動しようかと思っていたが、幸いにも休憩室にはいくつか空があった。深夜2時以降だと、深夜割増料金がかからず、しかも12時間利用できるという。いったいどういう料金体系になっているのかわからないが、ロビーで10分ほど待つことにした。

東洋健康センター(郡山市喜久田町字松ヶ作)フロントでは入館料金を支払い、館内着やタオル類が入ったバッグ、ロッカーの鍵を受け取る。浴室は1階にあって、14種類のお風呂(うち2種類のサウナ)がある。ゆったりとした室内の中央にはデッキチェアが並んでいるが、水平に横倒しして熟睡している人も。深夜の健康ランドでは珍しくない光景であるが。

薬湯などいくつかの湯船を除いて、地下1,200mから湧出する温泉を使用。無色透明のお湯に感じるのは塩素消毒のにおいだったりする。バイブラバスや白湯の大きな湯船のほか、寝湯ジャグジーと人肌程度のぬる湯があり、変り種としては薬湯と高麗人参風呂。薬湯は8種類の生薬をブレンドした、健康ランドでよく見る小袋入りのタイプ。泥のような色をしていて、独特のにおいとともに皮膚には若干の刺激がある。高麗人参風呂とは何かの液体に浸かった高麗人参(透明のケースに入っている)から、エキスがポタポタと落ちてくるいう仕掛け。湯船は2帖ほどの大きさがあるので、数滴ずつとは物足りない。しかし、この湯船がいちばん高温だったりするので、気分のリフレッシュにはよい。

東洋健康センター(郡山市喜久田町字松ヶ作)

露天スペースにあるのは、タイル張りの大きな湯船、落差2mほどの滝のある岩風呂、そこに通じる足ツボの歩行浴、1人用の五右衛門風呂。植栽や岩を配し、和風の趣でゆったりとしているが、とくに景色がよいわけではない。それよりなぜボイラー室の扉を閉めないのかが気になったが、これだけの大施設とあって設備機器も大掛かりだ。サウナは室内に2ヶ所あって、高温のスチームと、やや温度を抑え気味のドライタイプ。いずれもテレビつきだが、もうちょっとこだわりがあっても…という感じが否めない。全体的な感想としては「地方都市の健康ランド」の典型だなぁということ。もうちょっとレジャー要素を取り入れてもよいのではないだろうか。

東洋健康センター(郡山市喜久田町字松ヶ作)

ひと通りお風呂を満喫したら、すでに深夜2時半を回っていた。急いで寝床を確保したいところだが、男女別に分かれた仮眠室にはリクライニングシート(テレビあり/なし)、マットタイプが並んでいる。たくさんあるわけではないが、2〜3空いていた。毛布はフロントにて貸し出し。「利用は朝8時まで」とあったような気もするが、多くの人が気にせずに寝ていた。そのそばから掃除や片付けの作業が入るといった具合。

館内図

2階には仮眠室のほかに「えびす座」という大衆演劇場があって、月替わりで昼夜2回公演を行っている。昼の部は13時開演だというのに、芝居目当てのおばあちゃんたちは朝早くから来館している。この日は公演初日だったから余計に混雑していたのだろうか。1階大広間などで開演までの時間をのんびりと過ごすようだが、なかには持ち寄ったスイカやトマトを包丁で切って、分け合っているグループも。大衆演劇のほかにも、土日には歌謡ショーやカラオケ大会を行っており、地域の娯楽演芸場として親しまれているようだ。だから朝から駐車場は満車状態。おばあちゃんパワーはすごさにただただ圧倒。そんな健康ランドだった。

東洋健康センター
源泉/ふれあい温泉(単純温泉)
住所/郡山市喜久田町字松ヶ作15-1 [地図
電話/024-959-4126
交通/東北自動車道郡山ICより国道49号線を磐梯熱海方面へ約3分
     JR磐越西線喜久田駅から徒歩17分
     JR東北本線郡山駅から無料送迎バスあり(1日3便)
料金/大人2,085円、子供945円(小学生)、幼児525円(3歳以上)
     ※割増料金997円(12時間以上の利用、または深夜割増)
     ※館内着・バスタオル・フェイスタオルつき
     2時間コース:大人650円、子供250円(3歳以上)
     ※タオルレンタルは別途料金・えびす座の観劇は不可
時間/24時間営業、年中無休



(追記-2011/7/9)
3/11の東日本大震災による被害のため、長らく休業していましたが、7/7に営業再開となりました。

ホームページで確認したところ、入館料金が変更となっています。
大人1,885円、子供945円(小学生)、幼児525円(3歳以上)
割増料金1,050円(12時間以上の利用、または深夜割増)
※2時間コースについては変更なし

(追記-2017/1/13)
同業他社進出による客足の伸び悩み、施設の老朽化により1/31をもって閉店する。
オープンは1987年10月で、ピーク時には年間27万人、多い日には2000人の来店があったという。
閉店後に跡地は売却され、市内の企業が倉庫として活用する予定。
福島民友2017/1/12付の記事より