千年温泉(川崎市高津区千年新町)武蔵新城駅から南へまっすぐ歩いていくと、「サウナつかさ新城」のあたりから庶民的な雰囲気が始まる。児童公園南側の交差点を斜めに入り、しばらく行くと今回ご紹介する千年温泉がある。コインランドリーを併設しており、店舗の前にはいつも数多くの自転車が止まっている。店舗併用住宅と共同住宅が混在する地域にあって、千年温泉は町のオアシスとして賑わっているようだ。

千年温泉(川崎市高津区千年新町)券売機でチケットを買い、フロントへ提出する。外観からは想像できなかったが、脱衣所も浴室もゆったりしている。浴室に入るとすぐ正面に洗い場、左手に小さな水風呂とサウナ(別途150円)、奥に湯船が並んでいる。カランの列は左の壁際から3、5-5、5-5、6の配置で、いずれも固定式シャワーつき。ほかに立ちシャワーが1つ。平日とはいえ夕暮れ時だったからか、その半分ほどが埋まっていた。

千年温泉(川崎市高津区千年新町)湯船は温泉を使用していない湯船が4帖ほど。岩盤泉(お湯の出口に岩石がごろごろと置いてある)、ボディマッサージ2人分はパイプで仕切られている。その隣に温泉を使用した湯船があって、真四角で2帖ほどの「深湯」と直径2mほどの円形の「浅湯」に分かれている。透明度5cmほどの黒湯で、表の看板によると地下百数十mから湧出しているという。そして、少量ずつ絶えず注がれているお湯は、循環せずにかけ流しだという。鉱泉のため加温しているが、銭湯らしくちょっと熱め。さらさらの肌ざわりだ。湯船の上は壁一面に渓谷を描いたタイル絵。緩やかな滝が落ちている。その流れといい、川底の岩といい、山の緑といい、全てが色鮮やかに描かれており、そしてダイナミックな構図だ。

ぬるめの温泉を楽しみたいなら露天風呂へ。3帖ほどの大きさで、ふちには岩を並べている。ベンチや大きな石を置き、植栽も適度に配置し、せせこましさは感じない。住宅地とあってさすがに高い塀で囲まれているが、裏側に建つ低層マンションの最上階の一部が見えるだけで、開放感も味わえる。心地よい風も入り、のんびりした気分に浸ることができるのだ。

フロントわきにちょっとしたロビーを備えているが、2階には「オンステージ」を備えた休憩室がある。カラオケを楽しむことができるようだ。「遠くの温泉より近くの銭湯」というフレーズをよく聞くが、昼下がりに地元のお年寄りが集会する光景は容易に想像できる。千年温泉は風呂に入るだけの銭湯ではなく、社交場として地域に根ざしているのだろう。

千年温泉(神奈川県浴場組合)
千年温泉(川崎銭湯どっと混む)

千年温泉
源泉/川崎温泉(ナトリウム−炭酸水素塩冷鉱泉)
住所/川崎市高津区千年新町20-4 [地図
電話/044-766-6240
交通/JR南武線武蔵新城駅南口より徒歩7分
料金/大人450円、中人180円、小人80円
     サウナ150円
時間/13:30〜24:30(日曜日・祝日は11:00〜23:30)
     毎週金曜日定休

(追記-2017/7/25)
公式サイトによれば、建物改築工事により8/7より1年間休業するとのこと。