熱海といえば、全国的には静岡県の熱海温泉だが、福島県民にとっては磐梯熱海温泉を指す。郡山市街地と猪苗代湖のほぼ中間に位置し、郡山の奥座敷と呼ばれる温泉街だ。伊豆出身の領主が治めていたことに由来するらしく、開湯は約800年ほど前の鎌倉時代までさかのぼる。規模は静岡県の熱海温泉と比較するまでもないが、駅前には大小のホテル、旅館が建ち並び、温泉街としての風情は感じられる。共同浴場は宝の湯、錦星湯の2軒、日帰り温泉施設は郡山ユラックス熱海の1軒があり、入浴のみの利用を受け付けているホテルや旅館も多い。

湯元元湯(郡山市熱海町熱海)今回訪れたのは湯元元湯という旅館。「湯元」「元湯」という同じ意味合いの単語を並べつらねた、わかりやすい名前。自家源泉を所有していることに間違いはなさそうだ。駅のすぐそばにあって、年季の入った建物は一時代前の観光旅館の佇まい。1回入浴(=日帰り入浴)の客は本館ではなく、路地を挟んで西隣に建つ浴室棟を直接訪れる。入口の扉を開けると左手に受付があるので、おじさんに料金を支払う。面白いのは、3段階に安くなる料金設定だ。宿泊客を含めて混み合うであろう夕方以降は、共同浴場並みに安くなる。宿泊客が朝風呂として利用しているにせよ、一般客も5:30から受付とは素晴らしい。誰がそんな朝っぱらから…と思うが、実際に訪れた知り合いの話だと、地元の客でかなり賑わっているらしい。僕が訪れたのは9:00頃で、それでも7〜8人の客。みな、おじいさんの年代だ。

湯元元湯(郡山市熱海町熱海)脱衣所はやけに広く、横一列に並んだロッカーは扉が真っ黄色に塗られている。番号は振ってあるが、鍵などはない。テーブルも椅子も真っ黄色。外観や館内にはややくたびれた印象を受けたが、この一部分だけがド派手なのだ。そんな脱衣所とはうって変わり、浴室は使っているタイルが地味で色合いが暗いし、そもそもあまり光が入らないし、室内には湯治場のような渋さがある。広い室内には、12帖ほどの大きな湯船と4帖ほどの小さな湯船、シャワーつきのカランが1つと蛇口が3つ。客はみな大きな湯船につかり、目を閉じてじっとして動かない。もう一方の小さな湯船はちょうどいい熱さだったが、誰もつかっていないし、しばらく独占していても誰も移動してこない。

湯元元湯(郡山市熱海町熱海)なぜみんな大きな湯船でじっとして動かないのか?水風呂とまではいかないが、人肌よりはずっと冷たく(源泉は33.1℃)、我慢と心地よさの境界線。大きな湯船が熱く、小さな湯船が冷たいというのが普通だが、ここはその逆。むしろ冷たい湯船がメインなのだ。帰りがけに温泉案内の貼り紙を見たが、それによると「当元湯の源泉と温泉神社の源泉2種類を流出させており」「冷たい方が名湯で元和元年(1615)の頃から湧出している」という。低−高−低と繰り返し入浴することで、血行が良くなり筋肉の疲れにも効果があるというが、それにしても皆さんの長湯には驚いた。真夏だったら最高だろうな、と思う。反対に寒い冬なら…と思うが、知り合いの話だと真冬でも同じような光景が繰り広げられているという。飯坂温泉の超熱湯を体験した翌日だったので、まさに所変われば…といった思い。なかなか得がたい体験ではある。

湯元元湯
源泉/磐梯熱海温泉(単純温泉)
      源泉:磐梯熱海温泉保護組合泉 33.1℃
      源泉:郡山市営第1号泉・第4号泉・第7号泉統合泉 53.0℃
住所/郡山市熱海町熱海4-22 [地図
電話/024-984-2690
交通/JR磐越西線磐梯熱海駅より徒歩2分
     国道49号線熱海バイパス「熱海バイパス中央」交差点を磐梯熱海駅方面へ
     磐越自動車道磐梯熱海ICから磐梯熱海駅方面へ約2km
料金/(05:30〜14:00)大人500円、小人250円
     (14:00〜16:00)大人250円、小人125円
     (16:00〜20:00)大人200円、小人100円
     大広間+入浴は1,000円(8:00〜16:00)
時間/5:30〜20:00

磐梯熱海温泉観光協会

磐梯熱海温泉の共同浴場
宝の湯 16:00〜21:00 大人300円
錦星湯 15:00〜20:40 大人200円