山口露天風呂(群馬県中之条町四万)四万温泉は群馬県を代表する温泉街のひとつで、吾妻線中之条駅より40分ほどの距離にある。不便な場所にもかかわらず、四万川沿いには数多くのホテルや旅館が建ち並ぶ。開湯には2つの説があり、源頼光の家臣碓井貞光が発見したとも、坂上田村麻呂が発見したとも言われている。いずれにせよ温泉地としての歴史は古く、四万温泉の名は「四万の病を治す霊泉」に因んでいるという。温泉街は中之条市街地側から温泉口、山口、新湯、ゆずりは、日向見の5地区に分かれており、碓井貞光が日向守であったことから、日向見地区に限っては日向見温泉と呼ばれることがある。共同浴場は御夢想の湯(日向見)、河原の湯(新湯)、上の湯(山口)の3軒と、今回ご紹介する混浴の山口露天風呂がある。

その名のとおり山口地区にあり、やまぐち館第二寮と旅館いずみやの間にある小さな階段を、四万川の河原のほうへと下りていく。すると真正面の川岸にはまさしく露天風呂とあずま屋風の屋根が見える。2枚のつい立が目隠しになっているが、対岸からは確かにそこが露天風呂であることがわかる。四万川に架かる小さな橋は、その露天風呂のためだけにあり、橋を渡ったら露天風呂の裏手に建つ脱衣所へ。寸志を入れる箱と、男女別に分かれた室内には棚とカゴ、ベンチがある。

山口露天風呂(群馬県中之条町四万)山口露天風呂(群馬県中之条町四万)山口露天風呂(群馬県中之条町四万)

大小の岩を並べてつくった湯船は4つあり、脱衣所側にお湯が注がれたお湯が川側のほうへと流れていくので、川側の2つの湯船はぬるめ。何時間でも入っていられそうな気持ちよさだが、脱衣所に貼り紙には「利用は1時間以内」とある。1つ1つの湯船を隔てるようにして目隠しがなんとなく設けられているので、カップルで訪れたときなどは互いのプライバシーを多少は保てるのかもしれない。川側の湯船からはすぐ目の前に四万川の流れを、そして対岸に建ち並ぶ旅館の客室側を眺める。開放感がありすぎて、しかも混浴なので女性には落ち着かないかもしれないが。すべてはこの立地ゆえの特性だと思って楽しむしかない。風に吹かれながら、そして川の流れに耳を澄ましながらの入浴は気持ちがいい。寸志で利用できるのもありがたいことで、四万温泉を訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてほしい。

四万温泉山口露天風呂
源泉/四万温泉(ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉)
住所/群馬県吾妻郡中之条町大字四万 [地図
電話/0279-64-2321(四万温泉協会)
交通/JR吾妻線中之条駅よりバス約40分「山口」停下車徒歩1分
料金/寸志
時間/9:00〜21:00

四万温泉協会

四万温泉の共同浴場についての記事
山口露天風呂
上の湯
河原の湯
御夢想の湯