沼田健康ランド(群馬県沼田市薄根町)群馬県の温泉めぐりをするとき、格安の宿泊手段として「伊香保グランドホテル黄金の湯館」(24時間営業で入館料680円〜、→記事)を利用するのだが、火曜日の夜はあいにくの休館。インターネットで群馬県内の健康ランドについて調べてみると、高崎市に2軒、伊勢崎市に1軒、そして沼田市に1軒あるのみ。となれば、選択肢は沼田健康ランドに限られる。関越道の沼田ICから約15分、JR沼田駅からも徒歩圏で、意外と立地はよい。到着したのは深夜0時をわずかに回った頃で、塔屋のネオンは煌々と灯っているものの、玄関および館内は薄暗い。早くも不安な気持ちにさせられたし、館内にはこれまでに訪れた健康ランドとは何か違う、不健康な雰囲気が漂っている。

沼田健康ランド(群馬県沼田市薄根町)「今日はどうしますか?」とフロント氏に聞かれたが、質問の意図をよく飲み込めないでいると、続けて「泊まりですか?」と。たいていの施設では入館料をまず支払い、翌朝の退館時に深夜追加料金を支払うが、ここでは入館時に一括支払い。すでに深夜料金の発生する時間帯だったからか。下足箱の鍵と引き換えに、ロッカーの鍵とタオル・館内着の入ったバッグを受け取る。歯ブラシとカミソリはフロントに置いてある。館内の左手に男性の、右手に女性のロッカー室(脱衣所)を配しており、縦長スチールロッカーが何列か並んでいる。また、リラックスルーム(仮眠室)とは室内で直結しているため、おのずと男女別の利用となる。

浴室は健康ランドとしては小規模で、湯船の数も少ないし、しかも薄暗い。天井が低く、ところどころ黒ずみも見られる。カランは「コ」の字に9つしかなく、ナイロンタオルは使い古されてくたくた感あり。シャンプー、ボディソープ、固形石鹸はあるが、シェービングクリームはない。8帖ほどの湯船と2帖大のバイブラ湯がメインで、既製品をはめただけのジャグジーは作動しないし、水風呂は驚くべきほどの冷たさ。特徴的な設備があるわけではなく、入浴剤や薬湯のサービスを提供しているわけでもない。目玉は10m×2レーンの温水プールで、浴室の約半分を占める大きさだ。湯船が楽しくないとなれば、泳ぐしかやることがない。テレビがある12帖ほどの高温乾式サウナだけが、健康ランドらしい唯一の設備だといえる。

入浴後は館内を見てまわった。フロント横がいちおうロビーで、テーブルとソファの応接セット、そのわきにクレーンゲームの機械が2台並んでいる。静かな館内で聞こえるのは、そのゲーム機の電子音のみ。2階へと上がってみても半消灯状態で、レストランも当然営業時間を終えていた。不思議なのは1階にも2階にもタバコの自販機はあるが、ジュースの自販機はない。その代わり給茶器があって、湯呑みかガラスのコップを使用する。ホールの先は和室と洋室の客室、宴会場があるようだが、廊下は利用客専用で、もちろん消灯していた。

リラックスルームにはリクライニングシートが18人分並んでいる。幅広であることに加え、背もたれは水平まで倒れるのが嬉しい。革張りなのでひんやりとする感じもあり、毛布を敷いて使う人も。夜中はエアコンが効いてちょっと寒かった。ブラウン管の個別テレビはリモコンがなく、しかも片耳イヤホンを使用する。1人分のスペースはゆったりとしているが、大勢がいると眠れないという人は隣接するカプセルルーム(別途500円)を利用するとよいだろう。

昭和のレジャーブームの名残を感じさせる雰囲気だ。脱衣所でもリラックスルームでも、いまどき珍しくタバコは吸い放題。客どうしは朝からパチンコ屋の情報交換をするなど、若干やさぐれた空気も漂っている。訪れたのは平日で、リラックスルームは数名分空いていた。しかしカプセルや客室もあるため、実際の収容可能人数には余裕があるはず。といったわけで、意外と穴場施設なのではないかと思うのだ。館内の雰囲気はさておき、周辺地域への観光拠点としての利用価値は高く、お得に旅したいなら知っておいて損はないはずだ。

沼田健康ランド
住所/群馬県沼田市薄根町2825-2 [地図]
電話/0278-22-1234
交通/JR上越線沼田駅より徒歩13分
     関越自動車道沼田ICより約3.5km(車で約15分)
料金/大人1,000円、小人600円
     深夜追加料金(0:00以降):1,000円
     3時間(9:00〜22:00):大人500円、小人300円
     朝風呂(5:00〜9:00):500円
時間/24時間営業


群馬県内のそのほかの健康ランド
Spa Sento(高崎市)
天神の湯(高崎市)
伊勢崎健康ランド湯楽園

太田コロナワールド(コロナの湯)オフィシャルサイト
10:00〜翌9:00の営業だが、仮眠室の有無などの詳細は不明。ネットカフェ併設。