下部温泉会館(山梨県身延町下部)武田信玄の隠し湯といわれる温泉地は数あれど、そのなかで温泉地としての規模や知名度で群を抜いているのが、山梨県身延町の下部温泉だといえる。江戸時代には湯治場として、また身延山久遠寺に近いことから参詣客の利用でも賑わったという。「日本の名湯百選」に数えられた温泉地で、駅前から下部川に沿って30数軒のホテルや旅館が建ち並んでいる。実際に現地を訪ねてみると、昭和期のレジャーブームの面影を残す寂れた風景もあり、少々やるせない気分にもさせられる。「日帰り入浴」の看板を掲げたホテルや旅館もあるが、今回は温泉街の手前にある下部温泉会館を訪れた。

研修室や有料休憩室などを備えた町営施設で、建物の内外は公民館のような雰囲気だ。入館すると正面に券売機があり、右手にはソファとテーブルの休憩用ロビー。浴室は館内の奥にあって、脱衣所も浴室も意外なほどにシンプル。観光客を呼びたい気持ちもあるのだろうが、地元住民のための共同浴場と言ったほうがしっくりくる。夕方に訪れたから余計かもしれないが、実際に地元のおじさんたちの社交場と化していた。脱衣所は鍵つきのロッカーと流しのみ。浴室は小さな湯船が1つとカランが5つあるのみで、シャンプーとボディソープを置いているのが、いちおうのサービス心ということか。

無色透明のお湯は循環式。浴室の一方はガラスブロックだが、もう一方の窓を開けると間近に川を見下ろし、向かいの山の雑木林を眺める。訪れたのは4月上旬で、ちらほらと山桜が咲いていたが、特筆すべき景色でもない。下部温泉街のなかではリーズナブルな料金と駅から徒歩圏であることが魅力だが、それを差し引くと「まぁこんなもんか」という施設。しかし贅沢を言っちゃいけない。これぞ下部本来の温泉風情なのかもしれないから。

下部温泉会館
源泉/下部温泉(単純温泉)
住所/山梨県南巨摩郡身延町下部1130-1 [地図
電話/0556-36-0124
交通/JR身延線下部温泉駅より徒歩7分
料金/大人400円、小人300円、幼児200円
     (1日コース)大人1,000円、小人700円、幼児500円
     ※JR割引あり(大人350円)
     ※小人は小学生
時間/10:00〜18:00、12/29〜1/2は定休

下部観光協会